鉄やレンガ、ブロック、コンクリートなどの材料を使ってDIYする方も多くなってきています。
そんな材料を扱う時にあると便利な電動工具がディスクグラインダーです。
今回はそのディスクグラインダーの構造と使い方について説明します。
ディスクグラインダーとは?
ディスクグラインダーとは、毎分約9000~12000回転する軸に様々な種類のディスク(砥石)を取り付け、金属・木材・コンクリートなどあらゆる素材の研削・研磨・切断を行うことが出来る電動工具です。
シンプルな構造ですが、誤った使用法をしてしまうと大きな事故につながる電動工具の一つでもあるので、十分な注意が必要です。
今回はマキタ製のディスクグラインダー(使用ディスク寸法・外径100mmタイプ)で構造と使い方を説明します。
各部名称
基本操作
作業前に必ず、保護メガネ・防塵マスク・皮手袋を装備・確認します。
本体およびディスクに破損などの異常が無いかしっかり確認します。
加工材に触れない位置で本体後方の電源スイッチを入れ、ディスクの回転が完全に上昇しきったら、研削・研磨・切断等の作業を始めます。
作業が終了したら電源スイッチを切り、ディスクの回転が完全に止まってから本体を置きます。
(回転がとまらないうちに本体を置いてしまうと思わぬ事故につながるので注意してください。)
ホイールカバー
作業する際には必ず、ホイールカバーを本体に装着します。
通常の研削・研磨・ダイヤモンドホイールによる切断などには、半分がオープンになっているホイールカバーが使用されます。
切断砥石を使用する際は、砥石を覆い隠すホイールカバーを使用します。
ベアリングボックスの凹部にホイールカバーの凸部を合わせてはめ込みます。
ホイールカバーを180度回転させ、ネジを締めて固定します。
切断砥石用ホイールカバーも凹凸部を合わせてベアリングボックスにはめ込み、回転させ(通常のホイールカバーとは逆方向)ネジを締めて固定します。
ディスク取付交換
ディスクの取り付けは、本体の回転軸(スピンドル)にインナフランジとロックナットの間にディスクを挟み込んで固定します。
インナフランジは凹面側がスピンドルの切欠き部分にはまる様になっています。
インナフランジをスピンドルに取付、パイロット部(リング状の突起)にディスクの穴をはめ込み、その上からロックナットのパイロット部を内側にして締め付けていきます。
シャフトロックを押し込み回転軸の回りを止めます。
ロックナットレンチの出っ張りをロックナットの穴に差し込みしっかりと締め付け固定します。
一部のディスク(ダイヤモンドホイール、切断砥石など)はインナフランジ・ロックナットの裏表を逆にして使用したり、専用のインナフランジ・ロックナットを使用する事があるので、説明書・仕様書をしっかり確認して正しい取付けを行う様にしてください。
グリップ装着
本体の両サイドには専用のグリップを取り付けられるネジ穴があります。
グリップを取り付ける事により、本体をしっかり保持でき安全に作業する事が出来ます。
研削・研磨系ディスク
オフセット砥石
オフセット砥石とは、主にコンクリート・ブロックなどの面取り、鉄・アルミなどのバリ取り等の研削(削る)作業に使用する砥石です。
本体に取り付ける穴の周りが出っ張っていて、ロックナットが砥石の研削面より内側(本体側)に隠れることにより、安全かつ容易に研削作業が出来ます。
研削作業は砥石の外周下面を材料に当て行います。
作業が進むにつれ、砥石が削れて常に新しい研削面が出てくることにより、同じ研削力が持続します。
砥石の厚みは4~6mm程度の厚めになっており、平面研削に優れています。
オフセット砥石に限らず、砥石は使用するにつれ削れて薄く小さくなっていきます。
常に砥石の状態を確認し、早めに新しい砥石に交換し安全に作業する事を心がけてください。
使用例
ホイールカバーを取付けたら、インナフランジ・オフセット砥石・ロックナットの順にはめ込み固定します。
インナフランジ・ロックナット両方のパイロット部がオフセット砥石側に向くようにはめ込みます。
材料に対して15°~30°傾けて研削します。
新しい砥石は角が立って、材料に食い込む事があります。
使い始めは手前に引くように研削し、角が取れたら前後どちらの方向でも進めることが出来ます。
コンクリートの蓋の面取りをしていきます。
電源スイッチを入れ回転が安定したら、研削していきます。
粉塵がかなり発生するので、防塵マスク・メガネを必ず装着し対応します。
簡単に面を研削する事が出来ます。
フレキシブル砥石
フレキシブル砥石は適度な弾性を持っており、鉄・石材・鋳物などの研削・研磨作業、特に曲面の研削に適しています。
形状はオフセット砥石と同様に本体に取り付ける穴の周りが出っ張っていて、取付方法も同じです。
弾性を持たせるため、厚みは3mm程度と薄めです。
使用例
取付方法・使用方法はオフセット砥石と同じです。
鉄板を研磨してみます。
曲面でもスムーズに研磨できます。
マルチディスク
マルチディスクには、
- サンドペーパー(研磨布)を重ねたもの
- 不織布研磨材(絡ませた繊維に砥材をまぶし固めた物)を使用したもの
- ダイヤを使用したもの
- フェルトを使用したもの
など様々なタイプがあり、あらゆる材料の研削・研磨が可能です。
柔軟性があるディスクが多く、下地研磨から仕上げまで綺麗に仕上げることが出来ます。
形状はオフセット砥石・フレキシブル砥石と同様に本体に取り付ける穴の周りが出っ張っていて、取付方法も同じです。
使用例
サンドペーパーがディスクの側面・上部まで覆われている自在マルチディスクは、ディスクの上面・先端・下面が使えるので、目地の様な箇所にも使用出来ます。
サンドペーパータイプのマルチディスクを使用し、アングル鋼を研磨していきます。
軽く押し当てるだけでアングル鋼の黒皮をはがし、素地の金属を綺麗に磨くことが出来ます。
繊維タイプのマルチディスクで、木材を研磨してみます。
表面の汚れやざらつきが取れ光沢が出るくらいに磨くことが出来ます。
サンディングディスク
サンディングディスクは、主にコンクリートの研削や塗装はがしなどに使用されます。
サンディングディスク自体は薄く、ラバーパットと一緒に本体に取り付けます。
ラバーパットは中央の穴に向かって盛り上がっている形状になります。
取付法と使用例
インナフランジの凹面を上側にしてはめ込みます。
ラバーパットのくぼんでいる側を上側にしてインナフランジにはめ込みます。
サンディングディスク本体をラバーパットの上へのせます。
サンディングディスク専用のロックナットは片側に出っ張りがある形状をしています。
出っ張り側をサンディングディスクの穴に差し込みねじ込んでいきます。
ロックナットレンチでしっかりと締め付けます。
ラバーパットがサンディングディスクをしっかりと保持してくれます。
ラバーパットの弾性がサンディングのしやすさにつながっているので、ロックナットの締め付け過ぎに注意してください。
コンクリート面を研削してみます。
軽く当てるだけで、平滑で綺麗に研削出来ます。
サンディングディスクには全体に砥材が付着していますが、全面を当てることはしないで、研削面から15°ほど傾けた状態で使用します。
切断砥石
切断砥石は、主に金属やステンレスなどを切断するディスクです。
使用時には必ず切断砥石用ホイールカバーを装着します。
使用前にディスクをよく確認し破損やヒビが無いかどうかチェックします。
切断砥石の使用面は外周面になり、砥石の側面は使用しない(こじたりしない)でください。
切断砥石は使用していくとどんどん削れて小さくなり、傷みも出てくるので適宜新しい砥石と交換してください。
取付法と使用例
インナフランジをパイロット部を表側にしてはめ込みます。
切断砥石の穴をインナフランジのパイロット部にはめ込みます。
ロックナットのパイロット部を内側(砥石側)にして締めていきます。
ロックナットレンチを使用ししっかりと締め込み、装着完了です。
鉄の丸棒を切断してみます。
かなり火花が出るので燃えない手袋と長袖の着用は必須です。
簡単に切断する事が出来ます。
ダイヤモンドカッター(ダイヤモンドホイール)
ダイヤモンドカッター(ダイヤモンドホイール)は、主にコンクリート・レンガ・石材などを切断するディスクです。
ダイヤモンドの砥粒がディスクの外周面と側面に配置されていますが、切断砥石と同じで使用するのは外周面、側面は使用(こじたりしない)しません。
ディスクに欠き取り部分があることで粉塵排出と放熱に優れるセグメントタイプと、欠き取り部分が無く切断開始がスムーズで切断面もキレイな波型タイプがあります。
取付法と使用例
ダイヤモンドカッターの取り付け穴の内径は20mmです。
インナフランジの凹部の外径が20mmになっていてダイヤモンドカッターの取り付け穴にピッタリはまる様になっています。
ホイールカバーを装着したら、インナフランジの凹部を上側にして回転軸へ取付けます。
ダイヤモンドカッターの取り付け穴をインナフランジ・凹部にはめます。(ピッタリはまります。)
今回使用している100mmモデルのディスクグラインダーのインナフランジ・ロックナットのパイロット部の外径は15mmになっています。
交換するディスクの取り付け穴も15mmになっており、ピッタリはまり固定出来る仕組みになっています。
ダイヤモンドカッターの様に取り付け穴が20mmの場合、15mmの穴に変換してくれるアタッチメントがあります。
20mmの穴にはめ込むと、15mmの穴になり、インナフランジ・ロックナットのパイロット部がお互いディスク側になる通常の固定と同じ方法でダイヤモンドカッター等を使用出来ます。
ダイヤモンドカッターをはめ込む際注意するポイントが、ディスクの向きです。
本体には矢印が印されていて、その方向にディスクが回転する構造になっています。
ダイヤモンドカッターにも必ず回転方向を示す矢印が記載されています。
両方の矢印の方向が合う様に取り付けます。
ロックナットのパイロット部を上側(外側)にして締めていきます。
ロックナットレンチでしっかり締め付け固定します。
レンガを切断していきます。
厚みがあるので、両サイドから切り込みを入れて切断していきます。
ダイヤモンドカッターが下から前方向へ回転しているので、前方に切り進めていきます。(後方に進めるとキックバックが起こり危険です。)
片側の切り込みが完了しました。
もう片方の面を切断していきます。
切断方向は前方に切り進めていきます。
切断面もきれいにカットする事が出来ます。
まとめ
今回は、様々な素材の研削・研磨・切断が出来るディスクグラインダーについて構造と使い方について説明いたしました。
ディスクの種類は多種多様で、素材・作業内容に適したディスクを選ぶことが重要なポイントです。
今回使用したディスクグラインダー(100mm砥石専用機種)では、スイッチを切ったらブレーキがきく(惰性で砥石が回る事が無い)機種がおススメです。
ディスクグラインダーは構造がシンプルですが、操作方法の誤りや安全確認・装備を怠ると重大な事故につながる電動工具の一つです。
安全第一で作業する事を心がけてくださいね。