京セラ製トリマー・ATRE60V(旧リョービ・TRE60V)レビュー

各工具メーカーから様々な種類の機種が販売されている ”トリマー” 。

木工DIYには欠かせない電動工具ですが、どこのメーカーのどんな機種を選んだらよいか迷うところです。

今回は、京セラ製トリマー ”ATRE60V(旧リョービ・TRE60V)” の機能や使い方、使用感についてレビューしてみました。

目次

京セラ製トリマー・ATRE60Vとは?

京セラ製トリマー・ATRE60V

京セラ製トリマー・ATRE60V

電子トリマー ”ATRE60V” は、リョービ株式会社のパワーツール事業を引き継いだ 京セラインダストリアル株式会社が製造・販売する電動工具になります。

リョービから発売されていた 電子トリマー ”TRE60V” のボディーカラー(グリーンからグレーへ)とロゴのみ変更されている物で、仕様・機能は全く同じになります。

”ATRE60V” はプロ用とされており、エントリー用(下位機種)として ”MTR42” (リョービから発売されていた ”MTR42” と仕様・機能は同じで、ロゴのみ変更されている)があります。

 

ATRE60V・付属品

ATRE60V・付属品

”ATRE60V” にはトリマー本体の他、片口スパナ(17mm)・ストレートビット(6mm)・ストレートガイド・ダブテールガイド・ダブテールガイド用ナットが付属しています。

下位機種 ”MTR42” には、ダブテールガイド・ダブテールガイド用ナットは付属していません)

ATRE60V・各部名称

ATRE60V・各部名称

ATRE60V・各部名称

ATRE60V・各部名称

ATRE60V・各部名称

スピンドル部詳細

スピンドル部詳細

スピンドルの穴にコレットナットがはまっている

スピンドルの穴にコレットナットがはまっている

ATRE60Vのサイズ(マキタ製トリマー・3707FC比較)

ATRE60V高さ(3707FC比較)

ATRE60V高さ(3707FC比較)

ATRE60Vと3707FCの電源コード位置

ATRE60Vと3707FCの電源コード位置

ATRE60Vの各部の大きさを、同じAC電源のマキタ製トリマー ”3707FC” と比較を交えて説明していきます。

ATRE60Vはベースプレートからの高さが約190mm(メーカー公称・191.4mm)で、マキタ・3707FCと比べると、低くなっています。

マキタ・3707FCは電源コードが上側に出ているのに対し、ATRE60Vは真横に出ていて、本体上端がフラットな形状をしています。

重さはどちらの機種も、1.2kgとなっています。

下位機種MTR42は、ATRE60Vと大きさは同じで、重さは1.1kgとなっています。

 

ATRE60Vと3707FCの本体太さ比較

ATRE60Vと3707FCの本体太さ比較

ATRE60Vと3707FCのベースプレート比較

ATRE60Vと3707FCのベースプレート比較

ベースがアルミダイカスト製

ベースがアルミダイカスト製

ATRE60Vの本体太さとベースプレートの大きさは、3707FCとほぼ同じ寸法になります。

※マキタ・3707FC・下位機種MTR42はベースがプラスチックですが、ATRE60Vはアルミダイカスト製になっています。

 

速度調節用ダイヤル

速度調整用ダイヤル

速度調整用ダイヤル

ATRE60Vには、”速度調整ダイヤル” が付属しており、ビットの回転数を ”16000回転/分~30000回転/分” に可変することが出来ます。

堅木などを加工する際にはなるべく回転数を落とし、杉など柔らかい材を加工するときは回転数を上げるなど、加工する材に合わせてダイヤルを回し回転数を調整しながら使用するようにします。

速度調整用ダイヤルの目盛りと回転数

ダイヤルの目盛り 回転数(回転/分)
1 16000
2 19000
3 21500
4 24500
5 27000
6 30000

マキタ・3707FC下位機種MTR42には速度調整ダイヤルは装備されていません。

 

ATRE60Vの使い方

ビットの取り付け、取り外し

クランプレバーを手前に引く

クランプレバーを手前に引く

両側のフックを押し開く

両側のフックを押し開く

本体とベースを取り外す

本体とベースを取り外す

※ビットの取り付け・取り外し前に必ずスイッチを切り、電源プラグを抜いた状態にしておきます。

ビットの取り付け・取り外しは、本体からベースを取り外して行います。

クランプレバーを手前に引いて、本体とベースの固定を解除します。

ベースの上部両側のフックを押し開いて、本体からベースを取り外します。

 

スピンドルに横穴があいている

スピンドルに横穴があいている

ピンを横穴に押し込む

ピンを横穴に押し込む

コレットナットを緩める

コレットナットを緩める

スピンドルには横穴が開いており、スピンドルロックボタンを押してピンを横穴に押し込むと、スピンドルが固定されます。

その状態で付属の片口スパナでコレットナットを緩めます。

 

ビットをスピンドルの穴に差し込む

ビットをスピンドルの穴に差し込む

スピンドルロックボタンを押し込みながらコレットナットを締付ける

スピンドルロックボタンを押し込みながらコレットナットを締付ける

コレットチャックがスピンドルの穴にセットされている事を確認したら、ビットを深く差し込みます。

スピンドルロックボタンを押し込み、スピンドルをロックした状態でコレットナットを締付けビットを固定します。

ビットを取り外す時は逆の要領で行います。

 

スピンドルの溝

スピンドルの溝

スピンドルをスパナ(10mm)で固定

スピンドルをスパナ(10mm)で固定

スピンドルには、スパナ(10mm)がはめられる溝があります。

スピンドルロックボタンを使用することなく、スパナ(10mm)でスピンドルを固定し、スパナ(17mm)でコレットナットを締付けてビットを固定する事も出来ます。

スパナを2本使用してコレットナットを締め付ける方法は、トリマーの使い方と構造について詳しく説明します。 の記事を参照してください。

ビットの出・切り込み深さ調節

本体にらせん状の溝がある

本体にらせん状の溝がある

リングを回すと上下移動する

リングを回すと上下移動する

本体には、らせん状の溝があり、リングを回すと溝に沿ってリング部が上下移動します。

ベースはリング部とフックによって一体化しているので、リングを回すことにより、ビットの出・切り込み深さ調整が出来る仕組みになっています。

 

クランプレバーを解除する

クランプレバーを解除する

リングを回してビットの出を調整

リングを回してビットの出を調整

※ビットの出・切り込み深さ調整の前に必ずスイッチを切り、電源プラグを抜いた状態にしておきます。

クランプレバーを手前に引き、ベースと本体の固定を解除したら、逆さにして立てます。

リングを回してビットの出を調整したら、クランプレバーを閉じてベースと本体を固定します。

スイッチ操作

スイッチオフ

スイッチオフ

スイッチオン

スイッチオン

スイッチは、上にスライドすると入り、下に押し下げると切れ、視覚的にわかりやすくなっています。

 

スイッチオン時LEDライトが点灯する

スイッチオン時LEDライトが点灯する

LEDライトもスイッチと連動していて、スイッチを入れると点灯し、切ると消灯します。

ストレートガイド

ストレートガイド(フェンス面にべニアを取り付け)

ストレートガイド(フェンス面にべニアを取り付け)

ストレートガイドを取り付ける

ストレートガイドを取り付ける

ストレートガイド取付完了

ストレートガイド取付完了

ストレートガイドは、ベースに取り付けて使用します。

ベースとノブボルトの間にストレートガイドを差し込み、ノブボルトを締付け固定します。

 

ストレートガイドを部材に押し当てて切削する

ストレートガイドを部材に押し当てて切削する

部材端部から近い溝

部材端部から近い溝

ストレートガイドは、部材の端部から比較的近い位置の溝を切削する時に使用し、部材の端部にガイドを押し当てながら切削します。

今回は紹介していませんが、ストレートガイドは円加工をする事も可能です。

トリマーでストレートガイドを使用した切削方法(溝切削や円加工)に関しては、トリマーの使い方と構造について詳しく説明します。 の記事を参照してください。

ダブテールガイド

ダブテールガイドをベースプレートに取り付け

ダブテールガイドをベースプレートに取り付け

テンプレートを用意(5.5mm厚シナベニア)

テンプレートを用意(5.5mm厚シナベニア)

テンプレートに沿って切削

テンプレートに沿って切削

テンプレートと同じ形状の部材を加工する事が出来る

テンプレートと同じ形状の部材を加工する事が出来る

ダブテールガイドはストレートビットと共に用いられ、ベースプレートに取り付けて使用します。

ダブテールガイドを装着すると、型板(テンプレート)に沿って溝を切削する ”ならい加工” が可能になり、型板と同形状の部材を大量に加工する事が出来ます。

 

ベースプレート固定ネジを緩める

ベースプレート固定ネジを緩める

ダブテールガイドをはめ込む段差

ダブテールガイドをはめ込む段差

ダブテールガイドは、ベースプレートを固定しているネジを緩め取り外してから取り付けます。

ベースプレートの穴には、ダブテールを取り付ける為の段差が付けられています。

 

ダブテールガイドの縁とネジ山

ダブテールガイドの縁とネジ山

ダブテールガイドをはめ込む

ダブテールガイドをはめ込む

ダブテールガイドの収まり

ダブテールガイドの収まり

ダブテールガイドは、ベースプレートの段差にはまる縁と、固定用のネジ山が付けられています。

ベースプレートの外側(材料に接する面)からダブテールガイドをはめ込みます。

 

ベースプレート外側からダブテールガイドを押し込む

ベースプレート外側からダブテールガイドを押し込む

ベースプレート内側からナットで締付ける

ベースプレート内側からナットで締付ける

ダブテールガイドのベースプレートへの固定完了

ダブテールガイドのベースプレートへの固定完了

ダブテールガイド取り付け完了

ダブテールガイド取り付け完了

ベースプレートの外側からダブテールガイドを押し込むと、ネジ山が露出します。

ベースプレート内側からダブテールガイド用ナットで締付け固定します。

ベースプレートを再びベースにネジで固定したら、ダブテールガイドの取り付け完了です。

 

凸部外径とストレートビット径の差

凸部外径とストレートビット径の差

テンプレートと加工材の切削位置のずれ

テンプレートと加工材の切削位置のずれ

ならい加工をする際、ダブテールガイドの凸部側面をテンプレートに沿わせて溝を切削します。

凸部の外径は10mm、通常使用されるストレートビットの径は6mm(使用するストレートビットの径は、ダブテールガイドの穴より小さくないと使用できない)なので、差が4mm(半径にすると2mm)あります。

実際にビットが切削していく部分の際が、テンプレートの際から2mmずれます。

テンプレートを作製する時・テンプレートを部材に固定する時は、テンプレートから2mmずれた位置が実際の切削位置になる事に注意が必要です。

 

凸部の高さ=4mm

凸部の高さ=4mm

ダブテールガイドの凸部の高さは、4mmあります。

テンプレートの厚みが4mm以下だと凸部が加工材に乗り上げて切削が出来なくなるので、テンプレートの厚みは必ず4mmを超える(5.5mm厚合板推奨)様にします。

トリマーでダブテールガイドを使用する場合の切削方法に関しては、トリマーの使い方と構造について詳しく説明します。 の記事(テンプレットガイドの項目)を参照してください。

集塵機能

集塵アダプタ

集塵アダプタ

取付穴

取付穴

集塵アダプタをベースに取り付け

集塵アダプタをベースに取り付け

集塵機へ接続

集塵機へ接続

ATRE60Vは、別売品の集塵アダプタをトリマーに取り付け集塵機に連結すると、集塵機能を働かすことが出来ます。

ベースの2ケ所の取付穴に集塵アダプタをネジで固定し、集塵機へ接続します。

集塵機能により粉塵の飛散の少ないクリーンな作業が出来ますが、集塵機のホースを接続すると多少トリマーの操作がしにくくなります。

 

ATRE60Vの使用感

リングを回してビットの出を調整

リングを回してビットの出を調整

本体を逆さに立てる事が出来る

本体を逆さに立てる事が出来る

ATRE60Vの大きな特徴は、ビットの出・切削深さの調節が、リングを回して行うネジ式になっている点です。

ビットの出・切削深さの調節は、正確な加工を行う上で重要ですが、特に最終的な仕上げ切削時の微調整がポイントとなります。

他社のトリマーに比べ、ATRE60Vのリングを回して調整するネジ式は、他社のトリマーに比べると、仕上げの微調整がやりやすくなっています。

更に、本体の上端がフラットになっている為、逆さにし安定した状態でビットの出・切削深さの調節をする事が出来ます。

 

起動時ソフトスタート機能により本体の反動が抑えられる

起動時ソフトスタート機能により本体の反動が抑えられる

回転速度調整には経験が必要

回転速度調整には経験が必要

作業の開始時に電源を入れた際、ソフトスタート機能(起動時に回転による本体の反動を少なくする)により安全に始動出来ます。

回転数を調整出来る機能がありますが、適切な回転数に調整するのは経験が必要になります。

ATRE60Vには、切削時負荷がかかっても回転数が落ちない ”フィードバック回路” が搭載されているので、回転数を一般的な ”25000~30000回転/分” 程度に固定して作業しても良いと思います。

下位機種MTR42には、ソフトスタート機能・速度調整機能・フィードバック回路は付属されていません。

 

ベース開口部

ベース開口部

電源コードが開口部の反対側にある

電源コードが開口部の反対側にある

AC電源タイプのトリマーは、作業時に電源コードの取り回しに注意が必要です。

ATRE60Vは、ベース開口部の反対側電源コードが真横の外側(ベース開口部の反対側)に出ているので、作業が非常にやりやすく安全な構造になっています。

ATRE60V・MTR42(下位機種)・3707FC(マキタ)仕様比較

ATRE60V MTR42(下位機種) 3707FC(マキタ)
取付ビット軸径 6mm 6mm 6mm
回転数(回転/分) 16000~30000(回転調整機能付き) 32000 26000
安定回転機能

(フィードバック回路)

×

(電子制御)

ソフトスタート機能 ×
スピンドルロック機能 ×
ビットの出・切削深さの調節方法 ネジ式調整リング ネジ式調整リング 調整ローラー
ベース素材 ダイカスト プラスチック プラスチック
重量 1.2kg 1.1kg 1.2kg
付属品 ストレートビット(6mm)

ストレートガイド

ダブテールガイド

ダブテールガイド用ナット

片口スパナ(17mm)

ストレートビット(6mm)

ストレートガイド

片口スパナ(17mm)

ストレートビット(6mm)

ストレートガイド

テンプレットガイド

トリマガイド

スパナ(10mm)

スパナ(17mm)

まとめ

今回は、京セラ製トリマー ”ATRE60V” の機能や使い方、使用感についてレビューしてみました。

実際に使用してみて、ビットの出・切削深さの調整がネジ式でリングを回すだけで出来るのは非常に便利です。

ビット交換時のスピンドルロック機能や、作業中に電源コードが邪魔にならない構造になっている点は、実際の作業を考慮した作りになっていると思います。

参考にしてみてくださいね。

トリマーについて詳しい使い方に関しては、トリマーの使い方と構造について詳しく説明します。 の記事を参照してください。

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