木工DIYで木材を曲線にカットするにはどんな道具を使用したらいいの?
そんなあなたの疑問に答えてくれる電動工具 “ジグソー” の使い方と機能について説明します。
ジグソーとは?
のこ刃(ジグソーブレード)を上下させて部材を切断する電動工具、それが “ジグソー” です。
曲線カットや窓あけ・欠き取り加工の際にあると便利な電動工具です。
今回はマキタのジグソー ”4350FCT” を例にして説明していきます。
ジグソーブレードの交換
ジグソーは替刃式で、切れが悪くなったり、切断する素材によってブレードを交換する必要があります。
”4350FCT” には工具いらずでジグソーブレードの交換が可能な、”ツールオープナー” が付属しています。(他のマキタ製ジグソーの多くに採用されています。)
ツールオープナーを所定の位置まで押し開くと、簡単にジグソーブレードの交換が出来ます。
ツールオープナーを所定の位置まで押し開けると、同時に ”ブレードクランプ” も回転し、ブレードを取り付ける差し込み穴とブレードクランプの開口部が一直線に重なります。
重なった状態でジグソーブレードを抜き差しします。
ジグソーブレードには ”ブレードB” タイプを使用しますが、突起部分が完全に見えなくなるまで差し込みます。
ツールオープナーを戻すと、差し込み穴とブレードクランプの開口部が十字にクロスし、ブレードの突起部分が引っかかるので向けない仕組みです。
最後にブレードが抜けないか確認します。
スイッチ操作
スイッチを握るとブレードが動きます。
電動工具によくある仕組みなのですが、 “スイッチを入れた状態でロックボタンを押すと、スイッチオン状態を保持する” 事が出来ます。
スイッチから手を放してもブレードは動き続けるので、安定した作業が可能になります。
オービタル機能・スピード調整
“オービタル機能” とは、ブレードが上下・前後に同時に動く機能です。
ジグソーのブレードは上下運動が基本ですが、オービタル機能を使用すると切断能率が良くなり、高速切断・厚板加工が容易になります。
オービタル調整レバーは、0の位置では上下運動のみで、レバーを右(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)へ変えるほどオービタル運動が大きくなります。
セット位置 | 用途 |
0 | 軟鋼板・ステンレス・プラスチックの切断
木材・合板のきれいな切断 |
Ⅰ | 軟鋼板・アルミ・硬質木材の切断 |
Ⅱ | 木材・合板の切断
アルミ・軟鋼板の高速切断 |
Ⅲ | 木材・合板の高速切断 |
ハンドル後方には “スピード調整ダイヤル” があり、所定の範囲内でストローク数が変えられます。
高速では早く切れますが、ブレードの寿命が短くなります。
ブレードの種類と切断可能な素材
ジグソーはブレードを交換する事で、様々な素材の切断が可能です。
それぞれの素材に適したブレードがあり、木材・合板は勿論、金属・アルミ・プラスチック・ステンレスなどの切断が出来ます。
金属を切断する時は、切断箇所に切削油を使用・塗布します。
切削油は金属と切削刃物との摩擦を抑え、加工精度を上げ切削刃物の耐久性を高める役割をします。
化粧合板など表面を傷つけたくない素材を切断する時は、”カバープレート” を使用します。
ジグソーのベース部分にかぶせる様にはめ込み、取り付けます。
カバープレートを取り付ける事により、金属のベースが直に素材に接触し、傷が付くのを防ぐ事が出来ます。
ジグソーによる切断方法
ジグソーの基本の切断方法は、部材にジグソーブレードが触れていない状態でスイッチを入れ、ベースを部材にしっかり密着させ、墨線に沿って切り進めていきます。
ジグソーブレードが部材に接した状態でスイッチを入れると、ブレードが部材に引っかかり、ジグソー本体が浮き上がる(キックバック)事があり危険です。
スイッチを入れる時には必ず部材にブレードが触れてないことを確認してください。
ベースを部材から離したり、切断中に無理にジグソーの向きを変えたりすると、本体の制御が難しくなったり、ジグソーブレードが破損したりして事故につながります。
必ずベースを部材に密着させ、ジグソーの送る方向を急に変える事はしない様にします。
ジグソーブレードは上下に大きく反復運動して部材を切断していきます。
部材の切断部分の下には、ジグソーブレードが可動出来るスペースが必要です。
作業台の上での切断作業の場合、部材の下に馬などをかませ、ジグソーブレードが作業台にぶつからない様にしておく必要があります。
直線カット
ジグソーによる直線カットはフリーハンドでも行うことが出来ますが、正確な直線カットを行う為には、定規を使用します。
定規にはマルノコ定規の様な直角定規や、自作定規を使用します。
自作定規を使用した(定規の作り方を含む)直線カット
ジグソー専用の定規を自作し、直線カットを行う方法を説明します。
今回は9mmのMDF材を2枚使用して定規を作製します。
MDF材の側面がガイド面になるので、側面が正確な直線になっている材を用意します。
2枚を少しずらして接合します。
ずらし幅は、ジグソーベースの端(ガイド面に当たる部分)からブレードの側面までの幅①より少し広めになる様に固定します。
上側に固定したMDF材の側面をガイド面として、ジグソーのベース端を押し当てながら、下側のMDF材を切断していきます。
ずらし幅が、ジグソーベースの端からブレードの側面までの幅①と同じになる様に下側のMDF材を切断出来たら、ジグソー用自作定規の完成です。
ジグソーに木材仕上げカット用ブレードを装着し、自作定規を使用して、積層合板の墨線に沿った直線カットをしていきます。
自作定規の下側材の端を積層合板に引いた墨線にピッタリ合わせたら、クランプで固定します。
ジグソー・ベースを自作定規に押し当てながら(ベース端は上側材の側面に、ベース下面は下側材の上面に押し当てる)カットしていきます。
自作定規に沿った、墨線通りの直線カットをする事が出来ます。
木材仕上げカット用ブレードを使用しているので、切断面が綺麗なカットになります。
ジグソーブレードの種類による切断面の違い
ジグソーブレードには様々な種類があり、使用するブレードによって切断面の仕上がりに差が出ます。
木材仕上げカット用ブレードと木材高速切断用ブレードを使用して、1×6材を直線カットし、切断面の違いを比べてみます。(1×6材の木目に対して垂直方向に直線カットしていきます)
自作定規を使用し、それぞれのブレードで直線カットしていきます。
切断面を比較すると、仕上げ用ブレードでは綺麗にカットされていますが、高速用ブレードでは少し荒れています。
切断する材料・加工法・切断面の仕上がりに応じて、適したジグソーブレードを選び使用する必要があります。
曲線カット
ジグソーの得意分野の “曲線カット” をしていきます。
ジグソーブレードを ”曲線カット用ブレード” に交換します。
墨線に沿ってゆっくり切り進めていきます。
曲線(墨線)に合わせようとするあまり、ジグソー本体を過度に左右へ動かしがちになります。
その様にジグソーを動かすとブレードが傾斜し、切断面が斜めになってしまいます。
無理にジグソーを押し進めず、ブレードの進行方向に力が加わるようにゆっくりカットしていくのがポイントです。
ジグソーで曲線カットを行うと、切断面を綺麗に仕上げる事が出来ます。
傾斜カット
ジグソーはベースを傾斜する事が出来、傾斜カットが可能です。
ジグソーのベースを傾斜させるには、まずベース裏面からベース固定ネジを六角棒レンチで緩めます。
ベース固定ネジを緩めると、ベースを動かすことが出来ます。
ベースを前後に動かし、ベース上部の横溝を固定ネジ位置に合わせます。
本体のV字溝をベース後方の傾斜目盛を任意の角度に合わせたら、ベース固定ネジを締め付けベースを固定します。
左右45°までの傾斜切断が可能ですが、角度を付け過ぎるとジグソーの操作が難しくなり、正確なカットが出来にくくなるので注意が必要です。
窓あけ加工・欠き取り加工
”窓あけ加工” ・ ”欠き取り加工” は、木工DIYにおいて頻度の高い加工になります。
窓あけ加工・欠き取り加工は、糸鋸やトリマーなどの電動工具でも加工出来ますが、今回はジグソーによる加工法を説明します。
”窓あけ加工” は、部材の一部を切り抜く加工になります。
切り抜く箇所に墨線を引き、墨線枠の対角2ヶ所にブレードを通し入れられる穴(この機種の場合は12mm以上の穴)を開けます。
ジグソーブレードを穴に差し込み、部材に触れない位置でスイッチを入れ、ジグソーを可動します。
穴から反対の角へ向かって(墨線に沿って)ジグソーを送り、カットしていきます。
穴を始点に墨線に沿ってカットしていくと角の部分に切り残しが出来ます。
切り残した角に向かってジグソーを送りカットしたら、“窓あけ加工” の完成です。
”欠き取り加工” は、墨線枠内(欠き取り箇所)の角一カ所(この欠き取りの場合)にブレードが通し入れられる穴を開けます。
穴からは反対側の角へ向かって、部材の端からは奥の角に向かってカットしていきます。
角に切り残しが出来るので、ジグソーで角に向かってカットしたら “欠き取り加工” の完成です。
まとめ。
今回は電動工具の中でも比較的手軽に扱いやすい “ジグソー” の使い方と機能について説明いたしました。
曲線カットや窓あけ、欠き取りなどの加工に適している電動工具です。
他の切断系電動工具よりパワーが小さいため、切断能力が劣ります。
ブレードが左右にブレ易く、切断面が斜めになりがちなので注意が必要です。
精度が求められる加工にはあまり向きませんが、初心者でも使いやすく何かと便利な電動工具なので揃えておくといいと思います。
DIYにおススメのジグソーはこちらです。(工具を使用せずにブレード交換が出来て、オービタル機能付です)
ちなみに今回説明に使用したジグソーはこちらです。
”4350FCT” は電子制御モデルで、定回転制御(負荷が強くかかってもモーター回転を維持し安定した切削を可能にする)やソフトスタート(スイッチを入れた時、スムーズに動き出すので安全)が備わっているので安全に作業する事が出来ます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。