高速切断機の構造と使い方とは?

男前インテリアなどで取り入れられているアイアン素材。

DIYでアイアン素材(金属)を取り入れるには、切断加工が必要になります。

金属の切断加工には様々な電動工具が使用されますが、今回は金属の正確な直角切断や任意の角度切断に特化した ”高速切断機” の構造と使い方について説明していきます。

目次

高速切断機とは?

高速切断機(CC14SF)

高速切断機(CC14SF)

高速切断機(CC14SF)

高速切断機(CC14SF)

高速切断機本体に材料を固定

高速切断機本体に材料を固定

高速回転しているトイシ部を押し下げていく

高速回転しているトイシ部を押し下げていく

”高速切断機” とは、円形のトイシを高速(約4000回転/分)で回転させ、金属を切断するための電動工具です。

高速切断機は、加工材料を本体に固定し、高速回転しているトイシ部を押し下げて切断加工する為、直角切断や角度切断が正確に出来ます。

今回は、HiKOKI(ハイコーキ)の高速切断機 ”CC14SF” を使用し、高速切断機の構造と使い方について説明していきます。

高速切断機 ”CC14SF” 各部名称

高速切断機CC14SF各部名称

高速切断機CC14SF各部名称

高速切断機CC14SF各部名称

高速切断機CC14SF各部名称

スイッチ部分詳細・ストッパ他詳細

スイッチ部分詳細・ストッパ他詳細

バイス部分詳細

バイス部分詳細

トイシの交換方法

サブカバーを固定しているツマミネジを緩める

サブカバーを固定しているツマミネジを緩める

ボルトを露出させる

ボルトを露出させる

円形のトイシは、使用するうちに削れて小さくなり切れ味も悪くなる為、適宜新品に交換する必要があります。

トイシ交換時には事故防止の為、スイッチを切り電源プラグを抜いておきます。

ホイールカバーに付属しているツマミネジ2か所を緩めたら、サブカバーをずらしてトイシを固定しているボルトを露出させます。

 

ストッパを押し込む

ストッパを押し込む

六角棒レンチでボルトを左に回す

六角棒レンチでボルトを左に回す

ストッパを押し込みながら、付属の六角棒レンチでボルトをゆっくり回転させると、回転軸がロックされ動かなくなるポイントがあります。

回転軸がロック出来たら、ボルトを左に回して緩めていきます。

 

ボルトとワッシャを外す

ボルトとワッシャを外す

ホイルワッシャを外す

ホイルワッシャを外す

トイシを外す

トイシを外す

トイシが外れた状態

トイシが外れた状態

ボルト・ワッシャ・ホイルワッシャを外すと、トイシを外すことが出来ます。

新しいトイシを装着するには、取り外しの逆の要領で行います。

交換する新しいトイシは、使用する高速切断機に合った専用のトイシを使用し、指定以外の刃物(マルノコ刃・チップソー等)は使用しないでください。

バイス部分

バイス部分詳細

バイス部分詳細

加工材料を固定するバイス部分は、 切断角度を調整する ”固定バイス” 、スクリューハンドルを回すと材料を固定バイスに押し付ける ”可動バイス” 、可動バイスの早送りを可能にする ”クラッチ” で構成されています。

 

2本のボルトを緩める

2本のボルトを緩める

左右45°まで角度調整出来る

左右45°まで角度調整出来る

固定バイスは2本のボルトで固定されており、付属の六角棒レンチで緩めると左右45°まで角度を変える事が出来、角度切断が可能になります。

固定バイスに印されている角度目盛りを目安に任意の角度に調整したら、2本のボルトをしっかりと締め付け固定します。

 

固定バイスを一番手前に固定

固定バイスを一番手前に固定

固定バイス中間に固定

固定バイスを中間に固定

固定バイスを一番奥側に固定

固定バイスを一番奥側に固定

本体には固定バイス用のボルト穴が4か所あり、固定バイスの位置を3段階変える事が出来ます。

幅が広い材料に合わせて、固定バイスと可動バイスの間隔を調整・変更が可能です。

 

スクリューハンドルを回し可動バイスをネジ送りする

スクリューハンドルを回し可動バイスをネジ送りする

可動バイスは、スクリューハンドルを回すと通常ネジ送りが出来ます。

 

クラッチを手前に倒す

クラッチを手前に倒す

ネジ送り無しで移動可能

ネジ送り無しで移動可能

材料際まで可動バイスを早送りする

材料際まで可動バイスを早送りする

クラッチをセットし可動バイスをネジ送りする

クラッチをセットし可動バイスをネジ送りする

クラッチを手前に倒して解除すると、ネジ部の引っ掛かりがなくなり、スクリューハンドルを回してネジ送りしなくても可動バイスの移動が可能になります。

実際に材料を固定(バイスで挟む)する場合は、クラッチを解除した状態で可動バイスを材料際まで早送りしたら、クラッチをセットしてスクリューハンドルを回し(可動バイスをネジ送りする)しっかりと固定します。

スイッチ操作

スイッチの引金を引く

スイッチの引金を引く

スイッチを切ってもトイシが惰性で回る

スイッチを切ってもトイシが惰性で回る

スイッチは引金を引くとはいり、放すと切れます。

切断作業後、引金を離してスイッチが切れてもトイシはすぐに止まらずしばらく惰性で回転します。

トイシの回転が完全に止まるまで材料の取り付け・取り外しは絶対に行わない様にしてください。

 

スイッチの引金を引きながらスイッチストッパを押し込む

スイッチの引金を引きながらスイッチストッパを押し込む

引金を引いた状態を保持し連続運転が可能

引金を引いた状態を保持し連続運転が可能

今回紹介している高速切断機(CC14SF)には、連続運転機能があります。

スイッチの引金を引いたまま、スイッチストッパを押し込むと引金がロックされ、連続運転になります。

もう一度引金を引き込むとスイッチストッパが戻り、引金を離すとスイッチが切れます。

運搬方法

チェーン用フック

チェーン用フック

運搬時の形状

運搬時の形状

高速切断機を運搬・移動する際には、チェーン用フックに付属のチェーンをひっかけてハンドルを下げた状態にします。

 

高速切断機(CC14SF)による切断加工のやり方

作業前点検・作業者の装備

切断作業の前には必ず以下の項目について点検・確認します。

電源プラグを差し込む前に確認する項目

  • スイッチが切れていること。
  • トイシにひび・割れなどの異常がないか
  • トイシの締め付けが適切かどうか
  • ホイルカバー・サブカバーの取り付け
  • トイシ脱着時に使用するストッパがはずれているか

    高速切断機の各部の点検・確認が終了したら、電源プラグを差し込み試運転をします。

    トイシが材料などに接触していないことを確認し、作業者はトイシ正面から避けた位置からスイッチを入れ試運転します。

    試運転の時間は

    トイシ交換後・・・3分以上

    作業始めの時・・・1分以上

    になります。

    トイシのブレや異音が無いか確認します。

     

    保護メガネ

    保護メガネ

    皮手袋

    皮手袋

    切断作業時には、火花の発生と共に高温の切りくずが発生します。

    作業者は必ず保護メガネ、皮手袋を装着し、高速切断機の周囲に燃えやすいものなどが無いか確認しておきます。

    (粉塵が出る場合には防塵マスクの装着・作業量が多い場合には耳栓等の着用が必要です)

    材料の固定

    丸鋼管と角鋼管

    丸鋼管と角鋼管

    平鋼とアングル鋼

    平鋼とアングル鋼

    高速切断機は様々な形状の金属切断が可能ですが、材料の固定が不十分だと材料の飛散やトイシの破損につながり、事故の原因になります。

    切断する材料の形状に合わせた適切な固定を確実にする必要があります。

     

    アングル鋼の両端部を下に向けて固定

    アングル鋼の両端部を下に向けて固定

    内側に当て木を挟んで固定

    内側に当て木を挟んで固定

    アングル鋼端部側を固定バイスに押し当てて固定はしない

    アングル鋼端部側を固定バイスに押し当てて固定はしない

    特にアングル鋼の場合は、固定方法に注意が必要です。

    アングル鋼の両端部を下に向けて固定もしくは固定バイス側にアングル鋼の側面を押し当てて内側に当て木(アングル鋼の内寸法より大きい寸法の当て木)を挟んで固定するようにします。

    アングル鋼の端部を固定バイスに押し当てて固定すると、鋼材が動いてしまう場合があり危険です。

     

    トイシが材料下端まで届かない

    トイシが材料下端まで届かない

    材料幅より小さい当て木をかませる

    材料幅より小さい当て木をかませる

    トイシは切断加工を繰り返していくうちに徐々に外径が小さくなります。

    トイシの外径が小さくなると、ハンドルを下限まで下してもトイシが材料の下端まで達せず切断出来なくなってきます。

    そのような時は、材料の下に材料幅より小さい当て木をかませて材料を固定すると、トイシが小さくなっても切断する事が出来ます。

     

    長尺の材料切断時には補助ローラーを使用する

    長尺の材料切断時には補助ローラーを使用する

    長い材料を切断する場合は、材料の固定が不安定になりがちです。

    昇降可能な補助ローラーを使用し、材料の高さを安定させ本体バイスで固定するようにします。

    切断加工

    単管パイプ

    単管パイプ

    単管パイプを固定・可動バイスで固定

    単管パイプを固定・可動バイスで固定

    単管パイプ(外径48.6mm 厚み2.4mm)の切断を例として、高速切断機による切断加工のやり方を説明していきます。

    固定バイスと可動バイスの間に単管パイプを挟んでしっかりと固定します。

     

    スイッチを入れ回転を上昇させる

    スイッチを入れ回転を上昇させる

    ハンドルをゆっくりおろしていく

    ハンドルをゆっくりおろしていく

    スイッチを入れ、トイシの回転を上昇させていきます。

    回転が安定したら(連続運転機能を使用してもよい)、ハンドルをゆっくりおろしていきます。

     

    切断始めはトイシを強く当てないようにする

    切断始めはトイシを強く当てないようにする

    徐々にトイシを押し下げて切り込んでいく

    徐々にトイシを押し下げて切り込んでいく

    切断始めにトイシを一気に押し下げ、材料に強く当ててしまうとトイシの破損につながります。

    切断始めはなるべくゆっくり材料にトイシを当てて切り込んでいく様にします。

    切断し始めたら、徐々にハンドルを押し下げながら切断していきます。

    切断中は、無理やりハンドルを押し下げずに、火花が一番発生する状態をキープできる力加減で押し下げていきます。

    切断途中に異音やトイシの破損が発生した場合は、直ちにスイッチを切ります。

    トイシの回転が停止したら、電源プラグを抜き、不具合の原因を検証・改善するようにしてください。

     

    切断完了したらスイッチを切る

    切断完了したらスイッチを切る

    トイシの回転が止まったらハンドルを上げる

    トイシの回転が止まったらハンドルを上げる

    切断が完了したら、その位置でスイッチを切ります。

    スイッチを切ってもトイシは惰性で回転していますが、回転が完全に停止したらハンドルを上げ元の位置に戻します。

     

    切断直後の材料は高温

    切断直後の材料は高温

    切断面

    切断面

    切断直後の材料は非常に高温になっている為、取り扱いには注意します。

    高速切断機は回転するトイシによる切断の為、切断面が綺麗に仕上げる事が出来ます。

    まとめ

    今回は金属の正確な直角切断や任意の角度切断に特化した電動工具 “高速切断機” の構造と使い方について説明いたしました。

    トイシを高速回転させ金属を切断する為、誤った使用をすると大きな事故につながります。

    使用前の点検(トイシのチェックや材料の固定の確認)をしっかり行い、作業者も保護メガネ・革手袋を確実に装備して作業する事が重要です。

    切断作業中も無理な切断は行わず、異音やトイシの破損等の異常が発生したら直ちに作業を中断し、不具合の原因を検証・改善するようにしてください。

    ホームセンターにも備え付けてあり自由に使用する事が出来る場合がありますが、トイシの状態が悪かったりメンテナンスが十分でないので注意が必要です。

    金属切断に使用される電動工具

    今回紹介した高速切断機の他にも金属切断に使用される電動工具があります。

    ディスクグラインダー

    ディスクグラインダー

    ディスクグラインダー

    鉄棒切断

    鉄棒切断

    高速切断機同様に円形のトイシを使用し、金属等の切断・研磨・研削が出来るのが “ディスクグラインダー” です。

    高速切断機に比べて直角や任意の角度を正確にカットする事は難しいですが、金属加工には欠かせない電動工具です。

    ディスクグラインダーに関して詳しくは、ディスクグラインダーとは?構造と使い方について説明します。 の記事を参照してください。

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    ポータブルバンドソー

    充電式ポータブルバンドソー

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    ノコ刃による切断加工になる為、火花(ディスクグラインダーや高速切断機の使用に発生)が発生することなく作業できます。

    ポータブルバンドソーの使い方等に関しては ポータブルバンドソーの構造と使い方とは? の記事を参照してください。

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