家具など木製品の接合部には、様々な方法が用いられます。
釘やビス、ダボや接着剤などを使用し、接合分を強固に固定するのが一般的です。
しかしそれらの接合方法を用いると、接合箇所の分解や脱着が出来なくなります。
そこで今回は、接合部の脱着を可能にする金物 ”ジョイントコネクター” について、専用のボルト・ナットの種類と使い方について説明していきます。
ジョイントコネクターとは?
”ジョイントコネクター” とは、組み立て式家具の接合部など用いられる専用のボルトとナットです。
DIYの家具製作等の接合方法として用いる事も出来、脱着・分解を可能な構造にしたい場合に便利な金物となります。
ジョイントコネクターボルトは、ネジ径が ”M6” に統一されており、ボルトをねじ込む雌ネジとして専用ナット(ジョイントコネクターナット)の他、ネジ径の合う鬼目ナットを使用する事が出来ます。
※ネジの軸・外側にネジ山があるのが雄ネジ、ねじ込む先の穴・内側にネジ山があるのが雌ネジと呼びます。ジョイントコネクターボルトは雄ネジ、ジョイントコネクターナット・鬼目ナットは雌ネジになります。
鬼目ナットに関して詳しくは、鬼目ナットの種類と取り付け方法とは? の記事を参照してください。
ジョイントコネクターボルト・ナットの頭部の形状は、”六角穴” 及び ”+穴” になっており、六角棒レンチ及び+ドライバー・-ドライバーを使用して締め付け固定します。
ジョイントコネクターボルト・ナットは、表面処理(メッキ)されており、ブロンズ(ブロンズメッキ)と光沢のあるシルバー(ニッケルメッキ)の色があります。
ジョイントコネクターボルトの種類と使い方
ジョイントコネクターボルト・Aタイプ
ジョイントコネクターボルト・Aタイプは、首下の径が直径9mmでボルトのネジ径(M6)よりも太くなっており、ボルトに高負荷がかかる大型家具や高重量の家具の接合部に使用されます。
板材同士を平行に接合する場合
ボルト・Aタイプを使用し、箱と箱のジョイント部など板材同士を平行に接合をする場合には、雌ネジとして専用のジョイントコネクターナットや、鬼目ナット(打ち込みタイプ・つば付き)を使用します。
接合する板材それぞれにボルトとナットの下穴をあけて、ナットを板材にセットしボルトを締め付け固定します。
雌ネジとしてジョイントコネクターナットを使用する場合は、ナット側を工具(六角棒レンチ・ドライバー)で回転しない様保持し、ボルト・Aタイプを締め付け固定します。
ボルト・Aタイプの首下径とナットの外径が同寸(直径9mm)の為、ボルト・ナットの下穴を同一径で一度にあけられるので、作業効率を高める事が出来ます。
雌ネジとして鬼目ナットを使用する場合は、片方の板材に鬼目ナットを打ち込み、ボルト・Aタイプを締め付け固定します。
ネジ径M6用の鬼目ナットで下穴径が9mm(ボルト・Aタイプの首下径と同寸)のタイプを使用することで、下穴を同一径で一度にあける事が出来、作業効率が高くなります。
板材同士を直角に接合する場合
ボルト・Aタイプを使用し、板材同士を直角に接合をする場合には、雌ネジとして鬼目ナットを使用します。
使用できる鬼目ナットの種類は、ねじ込みタイプのつば付き・つば無しと打ち込みタイプのつば無しになります。
片方の板材・木口に鬼目ナットを取り付け(打ち込みタイプ・つば無し)、ボルト・Aタイプを締め付け固定します。
ボルト・Aタイプの頭部分の直径は17mmあり、取り付け位置によっては頭部分がはみ出したり干渉したりすることがあるので、注意が必要です。
ネジ径M6用の鬼目ナットで下穴径が9mm(ボルト・Aタイプの首下径と同寸)のタイプを使用することで、ボルトと鬼目ナットの下穴を一緒にあける事が可能になります。
下穴を一緒にあける事で、部材同士の接合位置のずれを無くし、作業効率を上げる事が出来ます。
ジョイントコネクターボルト・Bタイプ
ジョイントコネクターボルト・Bタイプは、首下径とネジ径が同じになっており、組み立て式家具に使用されるジョイントコネクターボルトの基本形になります。
Aタイプの頭径が直径17mmに対し、Bタイプは16mmと若干小さくなっています。
板材同士を平行に接合する場合
ボルト・Bタイプを使用し板材同士を平行に接合をする場合には、前述のボルト・Aタイプ同様、雌ネジとして専用のジョイントコネクターナットや、鬼目ナット(打ち込みタイプ・つば付き)を使用します。
雌ネジとしてジョイントコネクターナットを使用する場合は、ナット側を工具(六角棒レンチ・ドライバー)で回転しない様保持し、ボルト・Bタイプを締め付け固定します。
雌ネジとして鬼目ナットを使用する場合は、片方の板材に鬼目ナットを打ち込み、ボルト・Bタイプを締め付け固定します。
ボルト・Bタイプを使用する際に注意しなければならないのが、ボルト・ナットの下穴径です。
前述のボルト・Aタイプの場合は、ボルト首下径とナット下穴径が同寸であった為、下穴を両方一遍にあける事が可能でした。
ボルト・Bタイプの場合、ナットの下穴径に合わせてボルトの下穴も一緒にあけると、ボルトの軸と下穴に隙間が出来てしまい、ボルトを締め付けて固定してもボルト側の部材がずれてしまう事があります。
ボルト・Bタイプの軸径・ナットの外径それぞれの寸法にあわせた下穴をあける必要があります。
下穴をあける際には、それぞれの下穴の中心が同じ位置に来るように切削します。
下穴の中心がずれると、部材同士の接合もずれてしまう為、精度の高い加工が必要になります。
板材同士を直角に接合する場合
ボルト・Bタイプを使用し板材同士を直角に接合をする場合には、前述のボルト・Aタイプ同様、雌ネジとして鬼目ナットを使用します。
使用できる鬼目ナットの種類は、ねじ込みタイプ・つば付き、ねじ込みタイプ・つば無し、ねじ込みタイプ・つば付き・円筒付き、打ち込みタイプ・つば無しになります。
片方の板材・木口に鬼目ナットを取り付け(ねじ込みタイプ・つば無し)、ボルト・Bタイプを締め付け固定します。
ボルト・Bタイプを使用し板材同士を直角に接合をする場合も、前述のボルト・Bタイプで板材同士を平行に接合した例と同じで、ボルト・Bタイプの軸径・ナットの外径それぞれの寸法にあわせた下穴をあける必要があります。
部材をずれなく接合するには、ボルト・ナットそれぞれの下穴の中心をピッタリ合うように切削しなければならず、精度の高い加工が求められます。
そのような場合に使用すると便利なのが、”ねじ込みタイプ・つば付き&円筒付き” の鬼目ナットです。
”ねじ込みタイプ・つば付き&円筒付き” の鬼目ナットは、通常のねじ込みタイプ・つば付きの鬼目ナットの取り付け方法と同様に、部材に下穴をあけつばが突き当たるまでねじ込んでいきます。
つばが部材に突き当たったら取り付け完了となり、円筒部分が部材木口面から出っ張った状態になります。
ボルト側の部材には、鬼目ナット円筒部の外形に合った下穴をあけておきます。
円筒部を下穴にはめ込み、ボルト・Bタイプを締め付けて接合します。
ボルト側部材の下穴はボルトの径より大きい為、隙間が出来てしまい、通常では部材のズレが生じてしまう可能性があります。
しかし、円筒付き鬼目ナットを使用すると、円筒部がボルト側部材の下穴にピッタリはまり、部材をずれずに保持する役割をするため、ボルトと下穴に隙間があってもズレが生じません。
円筒付き鬼目ナットは、円筒径と取付の下穴径が同寸なので、ボルト下穴と鬼目ナットの下穴を一遍にあける事が可能です。
下穴を一緒にあける事で、部材同士の接合位置の精度と作業効率を上げる事が出来ます。
ジョイントコネクターボルト・Cタイプ
ジョイントコネクターボルト・Cタイプは、ボルト・Bタイプと同様に首下径とネジ径が同じですが、頭径が13mmで、Aタイプ・Bタイプ(17mm・16mm)と比べかなり小さくなっています。
部材の幅が狭い箇所や、ボルトを目出させたくないところに使用されます。
板材同士を平行に接合する場合
ジョイントコネクターナットや鬼目ナットの頭径は、ボルト・Cタイプより大きく、同じサイズの物がありません。
板材同士を平行に接合する場合、ナットは露出している状態になります。
ボルト・Cタイプは、頭径を小さくし目立たせたくない箇所に使用する事が目的ですが、板材同士を平行に接合する場合はナットが目立ってしまう為、あまり用いられません。
(ナットが目立たない構造の場合は、使用される事があります)
板材同士を直角に接合する場合
ボルト・Cタイプを使用し板材同士を直角に接合をするには、前述のボルト・Bタイプと同様の加工方法(同じ種類の鬼目ナットを使用)になります。
使用できる鬼目ナットの種類は、ねじ込みタイプ・つば付き、ねじ込みタイプ・つば無し、ねじ込みタイプ・つば付き・円筒付き、打ち込みタイプ・つば無しになります。
鬼目ナットに ”ねじ込みタイプ・つば付き” ”ねじ込みタイプ・つば無し” ”打ち込みタイプ・つば無し” 使用する場合は、ボルト・Cタイプの下穴と鬼目ナットの下穴をそれぞれあけ、接合します。
鬼目ナット ”ねじ込みタイプ・つば付き・円筒付き” を使用する場合は、ボルト側部材と鬼目取り付け部材を一遍に同じ径の下穴をあけ、接合します。
ジョイントコネクターナットの種類
ジョイントコネクターナットは、ジョイントコネクターボルトの頭形状に合わせ、統一した外観にする事が出来る飾りナットになります。
ナットの頭径と外径は、ジョイントコネクターボルト・Aタイプ頭径と首下径と同寸になっており、ボルト・Aタイプと合わせて使用する場合にはボルト・ナットの下穴を同じ径で一遍にあける事が出来るので、作業効率が高くなります。
ジョイントコネクターナットには、鬼目ナットの様にナット自体での固定が出来ないため、ボルト締め付け時にはナットを六角棒レンチまたはドライバーで回転しない様に保持する必要があります。
まとめ
今回は、家具などの接合部の脱着を可能にする金物、”ジョイントコネクター” のボルトとナットの種類と使い方について説明しました。
主に既製品の組み立て家具に用いられる金物ですが、DIYにおいても取り入れられる仕組みです。
ただし脱着が可能な為、ビスやダボ、接着剤による接合より強度が弱くなります。
DIYで作るものにジョイントコネクターを取り入れる場合は、すべての接合部に用いる事はなるべく避け、ビスやダボ、接着剤による接合と併用することが必要です。