野外でのアクティビティやDIYにおいても使用価値の高まっている ”空調服” 。
空調服は、背面に取り付けられているファンを充電バッテリで稼働し、その風で体を冷却する仕組みです。
色々なメーカーから空調服が発売されており、機能や性能も様々で、どれを選んだらいいか悩むところです。
今回は工具メーカーの大手・マキタの空調服、”充電式ファンベスト” を紹介します。
マキタ・充電式ファンジャケット
国内大手の工具メーカー ”マキタ” の空調服が、充電式ファンジャケットシリーズになります。
空調服では、ファンを回す動力のバッテリー性能が重要なポイントとなりますが、マキタは工具メーカーの強みを生かし高性能のバッテリーを使用する事が出来ます。
高撥水・透湿性の生地を使用するなど、快適な作業が出来るように細かい配慮が施されているのも、作業内容を熟知した工具メーカーならではです。
一般的な空調服は、ファンで取り入れた空気は直接作業者のインナーに吹き付けられます。
しかし、マキタの空調服には内圧式インナーが取り入れられており、ファンで取り入れた空気がジャケットの表地と裏地(通気性をコントロール)の間を通り抜ける独自の仕組みが大きな特徴です。
(AIR CIRCULATION(エアーサーキュレーション)シリーズに限る。)
空調服内を空気が吹き抜ける為、どんな姿勢でも風が行き渡る構造になっています。
充電式ファンジャケットシリーズには、ベストタイプ・長袖タイプ・フルハーネス対応タイプ・刈払機対応タイプ・つなぎタイプなどがありますが、今回は動きやすいベストタイプ ”ファンベスト(FV210DZN)” について詳しく紹介していきます。
リチウムイオンバッテリ・ファンユニット
マキタのファンジャケットは、専用のリチウムイオンバッテリとファンユニットを使用します。
(ウェアだけ購入しても空調服として使用出来ないので注意してください)
ファンジャケット用バッテリにはリチウムイオンバッテリ本体(340g)と充電用ACアダプタ、ファンユニットには2つのファンとファンケーブルが梱包されています。
マキタのファンジャケットは、専用のバッテリだけでなく、電動工具用バッテリも専用のバッテリホルダにセットする事で、ファンのバッテリとして使用出来ます。
ただし、電動工具用バッテリの重さは、約500g~700g程度ある為、専用バッテリ(340g)より重くなってしまいます。
バッテリホルダにはベルトに装着するフック部分に、脱落防止のツメが出ています。
ベルトに装着しているバッテリホルダを外す時は、解除ボタンを押し込み(ツメを引っ込める)ながら外します。
専用バッテリホルダにはUSB端子が付属しており、スマホなどのUSB機器の充電が可能です。
バッテリ充電
バッテリのコントロールパネルに向かって右側面に出力ケーブル、左側面に充電端子が付属しています。
出力ケーブルはバッテリに固定されています。
充電端子のゴムカバーを開け、ACアダプタを差し込みます。
ACアダプタをコンセントに差し込むと、残容量表示ランプが点滅して充電を開始します。
充電が完了すると、ランプが消灯します。
残容量がゼロの状態からの充電の場合、完了まで約7時間かかります。
ファンユニットの取り付け
マキタのファンベストには内圧式インナーが取り入れられている為、ファンベストの内側(裏地部分)にはファンの取り付け穴がありません。
ファンの取り付けは、ファンベストの内側の下部にあるファスナーをあけ、裏地をめくりファンの取り付け穴を露出させて行います。
リングのフックを引きながら、ロック解除方向に回していきます。
リングの▲マークがファンユニット本体の凹部に重なるまで回すと、リングを外す事が出来ます。
ファンユニットには、ベルト通しがあります。
ベルト通し部分がファンベストに対して上向きになる様にして、背面外側から取付穴にはめ込みます。
ファンユニットの凹部とリング側▲マークを合わせはめ込みます。
リングをロック方向に回していきます。
リング側の▲マークをファンユニットの▲マーク②に合うまで回し、固定します。
表地内側に付属しているファンユニット固定用ベルトをファンユニットのベルト通しに通し、ボタンをとめます。
ファンユニット本体・リングにがたつきが無いか、表地をきちんと挟み込み固定されているかどうか確認しておきます。
ファンケーブル取り付け・バッテリ収納
専用バッテリを使用する場合はファンベスト前側左右どちらかのポケットに収納、専用バッテリホルダを使用する場合はベルトに装着します。
ファンケーブルは、ファンユニット接続側が黄色のプラグで、バッテリ接続側が黒のプラグになります。
裏地をめくりあげ、両サイドのファンユニットへケーブルを接続します。
裏地下部(左右両側)に、ファンケーブルを通すためのスリットと固定用面ファスナーがあります。
バッテリ収納側のスリットに裏地内側から表側へバッテリ接続側ケーブルを通し、面ファスナーで固定します。
バッテリの出力ケーブルとファンケーブルを接続し、ファンユニットのセッティング完了です。
ファンの始動・停止、風量調節
バッテリ操作パネルの風量入/切ボタンを長押しすると電源が入り、強モードでファンが始動します。
風量入/切ボタンを押す度に、強モード➩中モード➩弱モードが順番で切り替わります。
ターボボタンを押すと最大風量が1分ほど続き、元のモードに戻ります。
ファンの停止は、風量入/切ボタンを長押しして行います。
専用バッテリホルダを使用する場合も、操作方法は同じになります。
ファンジャケット専用バッテリをフル充電した場合の連続使用時間(目安)
風量モード | 連続使用時間 |
強モード | 約18時間 |
中モード | 約12.5時間 |
弱モード | 約6.5時間 |
マキタ・ファンベストの実際の使用感
マキタ・ファンベストは、裏地があるので他社の空調服よりしっかりとした着心地です。
他社の空調服は、空気の抜け口を少なくするためにベストの肩回りや裾をゴムなどで締め付けており、タイトな着心地になっています。
マキタ・ファンベストは内圧インナーを採用している為、ベストの肩回りと裾の締め付けはなく比較的ゆったりしています。
ベスト裾の内側には、ドローコードが2か所付属しており、多少の締め付けが可能になっています。
風量入/切ボタンを長押ししファンを稼動させると、ファンベストが全体的に膨れ上がります。
主に首元背面側から空気の排出があり、ファンの稼動音も風量を上げていくと大きくなります。
他社の空調服は、空気の排出口が首元に集中している場合が多く、吹き出す空気が顔に当たり、不快に感じることがあります。
マキタ・ファンベストの内側(裏地)には、首元(背面側)・襟元・脇の下の5か所に空気の吹き出し口があります。
空気の吹き出しが調整されている為、他社の空調服に比べ、顔に当たる空気はさほど気になりません。
他社の空調服は、ファンの取り付け場所へ集中的に空気が当たり、作業者の姿勢によっては空調服全体にうまく空気が回らない場合があります。
マキタ・ファンベストは内圧式インナーの働きで様々な姿勢をとってもベスト全体に空気が行き渡り、通気性をコントロールした裏地の機能により、ベスト全体に冷却機能が働きます。
空調服は、服全体が膨れ上がる為、裾がずり上がる傾向にもあるので通常の服のサイズよりワンサイズ上を選ぶ事をおススメします。
筆者は身長170cm・体重70キロ・通常Lサイズですが、ファンベストはLLサイズが適切でした。(この記事のベスト着用写真はすべてLLサイズを着用)
使用上の注意点
- 雨天時やウェアが濡れた状態での使用は、感電や故障の原因となるので行わない事。
- 火花が発生するような溶接現場、火気を扱う現場での使用はしない。火花を吸い込みやけど・発火の危険性、ウェアの損傷等が起こる為。
- 高温(50℃)を超えるような環境での着用はやけどを負う可能性があるので行わない。
- 粉塵の多く発生する場合の使用は避ける。ファンの故障や首元から排出される粉塵を吸い込んでしまう可能性がある為。
空調服は、バッテリー(電気)を使用しファンを回転させ使用します。
使用方法を誤ると重大な事故につながる恐れがあるので注意が必要です。
まとめ
日本の工具メーカー ”マキタ” の空調服充電式ファンジャケットシリーズのファンベスト(FV210DZN)について、使い方と使用感について説明しました。
マキタの空調服だけあって、作業のシチュエーションに合わせた機能(内圧インナーなど)を備えており、充電式バッテリの性能は折り紙付きです。
今回紹介したファンベストは動きやすいので、ガーデニングなどの屋外作業には最適です。
今回紹介したファンベストはこちら➩
他社の空調服に関してはこちらの記事を参照してください。
ぜひ参考にしてみてくださいね。