DIYでウッドデッキを作ろうとなった時の一番の問題が、“どの木材を選び、どの様に使用したらいいのか?” と言う点です。
ウッドデッキは屋外で日光や風雨など厳しい環境にさらされる事になります。
使用する木材は十分な耐久性を持ったものでなければなりません。
しかし屋外使用が可能と言われている木材は、様々な種類があります。
今回は屋外使用が可能と言われている木材それぞれの特徴を比較し、ウッドデッキに適したおススメの木材と選び方のポイントについて説明します。
ウッドデッキ材の候補となる木材
ウッドデッキを作る際に候補にあがる木材(屋外使用が可能と言われている)にはどんな種類があるのか紹介します。
イタウバ
ブラジル産クスノキ科のハードウッド、“イタウバ” 。
イタウバは油分が多くささくれが起きにくいので、裸足で歩けるウッドデッキが作れる木材です。
節は見られず、色合いは茶褐色で、経年変化によって褐色⇨シルバーグレイへ変色していきます。
ハードウッドの中でも加工性が非常に良く、DIYにおいても比較的扱いやすい木材です。
20年以上ノーメンテナンスで使用可能です。
価格は高めですが、メンテナンス等長期的に見ればコストパフォーマンスが高い木材です。
イタウバの中でも、マットグロッソ州産の “イタウバ・マットグロッソ” が品質に優れています。
サイプレス
豪州ヒノキとも呼ばれる “サイプレス” 。
オーストラリア産ヒノキ科の針葉樹です。
アロマオイルの原料に使われるほど香りがよく、そのためシロアリ等の虫を寄せ付けない防虫性が高い木材です。
色合いは日本のヒノキに似ていて、節が多く見られます。
加工性は非常によく扱いやすい木材です。
価格は比較的安く耐用年数15年以上と言われていますが、ひびや割れが発生しやすい木材のため塗装などの定期的なメンテナンスが必要です。
ウリン・イペ
近年までウッドデッキ材などの野外使用木材の代表であった “ウリン” 。
通称 “アイアンウッド” と呼ばれ、鉄の様な硬さと耐久性を持つ木材です。
原産地はマレーシアの南洋材で、クスノキ科のハードウッド。
色合いは赤茶褐色で非常に硬いため加工が難しい木材です。
価格は高めで耐用年数は20年程度と言われており、耐水性・防腐性・防虫性に優れた木材です。
ウリン材は樹液が多く出る木材です。
雨に当たると、赤系の樹液が出て施工回りを汚してしまうことがあり注意が必要な木材です。
近年公共事業などでよく使用される “イペ” 。
原産地は南米アマゾン川流域(ブラジルなど)でノウゼンカズラ科のハードウッド。
色合いは黄褐色、反りなどの欠点が無いですが非常に硬いので加工は難しいです。
加工時イペの木粉が肌や目に付くとかぶれることがあります。また木粉を吸い込むとアレルギー反応を起こすこともあるので十分注意して扱うべき木材です。
価格は高く耐用年数は15年以上と言われていますが、ささくれが出来ると怪我をすることもあるので研磨等のメンテナンスは必要です。
ウエスタンレッドシダー
最近ではホームセンターでも購入出来る “ウエスタンレッドシダー” 。
北米原産のヒノキ科のソフトウッドです。
色合いは茶褐色で加工は容易です。
木材自体の耐久性は多少あり耐用年数は10年程と言われますが、毎年の防腐塗装などメンテナンスが必要です。
参考までに、フェンス材として8年ほど経過したウエスタンレッドシダーの状態を見てみます。
製作時1回だけ防腐塗料を塗ってあります。
木口面は割れや欠けが出ていますが、材を切断し断面を見てみると傷みはほとんど無い様に見えます。
ウッドデッキとフェンスでは使用条件が大分違いますが、木材自体の耐久性は多少なりともあるようです。
防腐剤注入木材
ホームセンターなどで見かける緑がかった色合いの木材が “防腐剤注入木材” または “ACQ加圧注入材” と呼ばれる木材です。
ACQという防腐薬剤を加圧注入する事で、防腐・防蟻にすぐれた木材を作り出しています。
元になる木材はSPF材や杉材などであるため加工は容易です。
太い角材はカッター状の歯車で傷を付け、防腐剤を浸透しやすくしています。
防腐剤は外側からの注入になるので、中心部には浸透していかず、木材の表面付近にしか防腐効果がないものになってしまいます。
元になる木材の耐久性が低いので、防腐剤注入材と言っても塗装等のメンテナンスは必要で頻度も多くなります。
人工木・樹脂木
人工木・樹脂木(樹脂デッキ材)と呼ばれるウッドデッキ材は、主に木材と樹脂を原料にして作られた材料です。
(原料に木材を使用する事で、天然木の質感を再現し、普通の木材と変わらない加工性を持ち合わせています。)
人工木・樹脂木は、天然木の経年劣化(ひび割れやささくれ、腐り等)が起こらず、保護塗料の塗装などのメンテナンスも不要です。
人工木・樹脂木は、空洞がある中空構造で専用金具で施工する場合が多く、スッキリとした仕上がりになります。(ビス止め可能な材もあります。)
価格は高めの物が多いですが、長い目で見ると(メンテナンス費用など)コストパフォーマンスの良い材料と言えます。
おススメのウッドデッキ材は?
ウッドデッキ材を選ぶポイント
ウッドデッキ材を選ぶ際のポイントは
- 材の使用条件(ウッドデッキのどの部材に使用するのか?設置場所の環境は?など)
- 材の耐久性
- 材の価格(製作予算)
になります。
ウッドデッキで特に傷みやすい箇所、つまり使用条件が厳しい部分は土台(束柱や根太)になります。
土台は地面からの湿気を受けやすく、腐朽菌(木を腐らせ朽ちさせる菌)が発生しやすい環境です。
土台部分には耐久性の高い材を使用すべきです。
地面からの影響を比較的受けにくい床材は、土台ほど高耐久の材を選ぶことはありませんが、手足に触れる場所なので、割れやささくれが出にくい材を選ぶ必要があります。(床の高さが低い場合は、土台と同等の耐久性を持つ材を選びます。)
ウッドデッキ材は、耐久性の高い材ほど価格が高くなります。
全ての材料を同一樹種で作り上げるのが一般的ですが、土台部分に高耐久の材を使い、床材を土台部分の材より価格の安い材を使用し予算を削減する作り方もあります。(土台部分がしっかりしていれば、もし床材が傷んでしまっても張り替えが可能な為)
土台部分(束柱・根太)に適した木材
“イタウバ(マットグロッソ)” や “ウリン” などの耐久性の高いハードウッドがおススメです。
土台部分は湿気による腐朽菌が発生しやすく、20年以上の耐用年数があるハードウッドが適材です。
イタウバやウリンなどの高耐久の材でも、使用環境が厳しいと耐用年数に満たないうちに朽ちてしまう場合があります。
写真はイタウバ材を無塗装で束柱に使用したものですが、設置場所が湿度の高く日があまり当たらない所であった為、6年ほどで朽ちてしまいました。
土台部分に使用する木材にはイタウバやウリンを使用するのは勿論ですが、さらに木材保護塗料を塗装しておくことも土台を長持ちさせるには必要です。
(イタウバやウリンのような高耐久の材は油分が多く、通常の木材保護塗料では塗装不良を起こしてしまいます。油分の多いハードウッドに塗装可能な塗料かどうか確認してから塗装を行って下さい。)
木材保護塗料に関しては ウッドデッキに適したおススメの木材保護塗料とは?木材保護塗料の種類と比較、選ぶ際のポイントを説明します。 の記事を参照してください。
床材に適した木材
手足が直接触れる床材には、割れやささくれが起こりにくい木材が適しています。
天然木で床材に最適なのが、“イタウバ(マットグロッソ)” です。
イタウバ(マットグロッソ)は油分が非常に多いので長期間割れ・ささくれが起きにくい木材です。
他のハードウッドに比べて加工性が非常に良い所もポイントが高いです。
実際に ”イタウバ(マットグロッソ)” を床板に使用した例として、ウッドデッキの作り方。天然木による床張りのやり方とは? の記事を参考にしてください。
天然木にこだわらないのであれば、割れやささくれが起こらない “人工木・樹脂木(樹脂デッキ材)” も床材として適していると言えます。
天然木のような経年変化がほとんど起こらず、塗装などのメンテナンスもほとんど不要であるため、長期にわたって快適な床面を保持してくれます。
実際に ”人工木・樹脂木(樹脂デッキ材)” を床板に使用した例として、ウッドデッキの作り方。人工木(アドバンスデッキ)のウッドデッキ材による床張りのやり方とは? の記事を参考にしてください。
まとめ
今回は屋外使用が可能と言われている木材それぞれの特徴を比較し、ウッドデッキに適したおススメの木材と選び方のポイントについて説明しました。
長持ちするウッドデッキを作るには、高耐久の質の良い木材を使用するべきです。
製作費用を考えると安価な木材を使用しがちですが、塗装などのメンテナンス代などで結局高い費用がかかってしまう場合が多いです。
長い目で見たコストパフォーマンスを考える事が重要です。
参考にしてみてくださいね。