束柱・根太でウッドデッキの土台を組み上げたら、床板を張っていきます。
ウッドデッキの床板に使用される木材は、”天然木” と ”人工木” の2種類に分けられます。
今回は、”天然木” を使用した場合の床張りの方法について説明します。
人工木を使用した床張りに関しては、ウッドデッキの作り方。人工木(アドバンスデッキ)のウッドデッキ材による床張りのやり方とは? の記事を参照してください。
床張りとは?
床張りは、根太に床板を固定していく工程になります。(根太に対し床板が直角になる様に固定する)
比較的容易な作業ですが、床板は表に見える箇所になるので、丁寧に床張りが出来るかどうかでウッドデッキの出来の良し悪しに影響する重要な工程になります。
床板(天然木)の種類と寸法
ウッドデッキの床板に使用される天然木は、ハードウッドとソフトウッドに分けられます。
ハードウッドは高耐久でメンテナンスがほとんど必要ないものが多いです。
ハードウッドを床材として使用する場合は、105mm~120mm程度(厚み20mm~30mm程度)の材を使用するのが一般的です。
ソフトウッドは、耐久性が低いものが多く、塗装等の定期的なメンテナンスが必要になります。
(防腐剤を注入して耐久性を高めているソフトウッドもあります)
ソフトウッドを床材に使用する場合は、少し厚みがある2×4材や2×6材を用いて耐久性を高める場合があります。
今回は、ハードウッドの ”イタウバ・マットグロッソ” を床板として使用した ”床張り”(幕板取り付け含む)のやり方を説明していきます。
ウッドデッキに使用される天然木に関して詳しくは、ウッドデッキに適したおススメの木材と選び方のポイントとは? の記事を参照してください。
固定金物
床板の固定金具は、”釘” と ”ビス” になります。
釘は、ステンレスのスクリュー釘を使用する事が多く、主にソフトウッドの根太・床材の固定に使用されます。
(スクリュー釘は、胴体部がスクリューのような形状になっており、保持力が普通の釘の1.3倍になります)
ビスは、ステンレスビスを使用します。
ソフトウッドの場合は普通のステンレスビスで固定出来ますが、ハードウッドに使用するとビス自体の強度が弱い為、ネジ切れ(ネジの頭が折れてしまうこと)を起こしてしまいます。
その為、今回の床板に使用するようなハードウッド(堅木)には、専用のステンレスビスを使用する必要があります。
堅木用ステンレスビス “錐込隊長”(商品名)はステンレス製ですが、焼き入れとビスの先端が錐先形状になっているため、堅木(ウリンやイタウバ)に使用してもネジ切れを起こしません。
耐錆性能を高める表面処理も行っているため、強度と防錆性を兼ね備えており、ウッドデッキなど屋外で堅木を使用する際に使用されます。
皿取錐(ウッドデッキ用)
ハードウッドの床板をビス止めする場合は、必ず ”下穴” をあけます。
(ハードウッドは非常に堅いので、下穴をあけないとビスをねじ込む事が出来ません)
床板を固定するビスは頭が皿の形状になっている ”皿ビス” を使用するので、下穴をあける際に皿形状の切削が一緒に出来る ”皿取錐(ウッドデッキ用)” を使用します。
”皿取錐” は下穴と皿形状の切削が一遍に出来る為、作業効率が良く、非常に便利な錐になります。
ドリルストッパー
皿取錐を使用する際に注意しなければいけない点が、下穴の深さです。
下穴の深さを一定にする事は難しく、同時に皿部分の深さもバラつきが出てしまいます。
皿部分の深さにバラつきが出てしまうと、ビス止めした際のビス頭の収まり(外観)に影響します。
”ドリルストッパー” は、皿取錐に装着して使用すると、下穴の深さを均一にし、バラつきを無くしてくれる便利なアイテムです。
皿取錐にドリルストッパーを装着して下穴をあけていくと、ストッパー部底面が材料に突き当たります。
錐固定部とストッパー部は別々に回転することが可能な構造になっている為、錐・錐固定部が空転し、それ以上の深さに錐が入っていかない仕組みです。
錐固定部に付属している止めネジを緩め、穴に皿取錐を差し込みます。
錐の先端からストッパー部の底面までが下穴の深さになりますが、皿取錐の場合は皿取部分の切削深さが重要になります。
床板をビス止め時、なるべくビスの頭と床板がフラットに収まる様に、試し穴を開けながら皿取錐とドリルストッパーの固定位置を調整します。
(皿取錐とドリルストッパーの固定は、錐固定部の止めネジを締め付けます)
ドリルストッパーを使用すると下穴の深さ(皿取部分)が均一になり、ビスも綺麗に収まります。
自作の墨付け治具
ビスの位置は表面に見える為、間隔や並びを揃えないと、目立ってしまいます。
自作の墨付け治具を用意しておくと、ビス止めの位置決めが手早く正確に出来ます。
今回自作した治具は、根太と床板木端面に押し当てると、ビス止め位置の墨付けが出来るようになっています。
(千枚通しで下穴位置を印しています)
床張りのやり方
床板は、母屋(家側)の反対側から母屋に向かって張っていきます。
床板と床板の間は、水はけと通気の為、3mm~5mm程度隙間をあけてビス止めしていきます。
床張りのやり方として、床板の取り付け位置をあらかじめ墨付けしておく方法と、スペーサーを使用する方法の2つを紹介します。
床板取り付け位置を墨付け(チョークライン)しておく方法
床板の幅と隙間の寸法から、各床板の取り付け間隔を導き出すことが出来ます。
床板を張り始める側(母屋の反対側)を基準として、各床板の取り付け位置を墨付けしていきます。
墨付けには、チョークラインを使用します。
基準の位置から全ての床板取付位置に墨付けします。
チョークラインの詳しい使い方は、DIYでウッドデッキを作るのに必要な道具とは? 記事内の測定・墨付け道具の項目を参照してください。
床板の一枚目(なるべく反り・曲がりのない真っすぐな材を使用する)を張り始めの基準位置に合わせたら(クランプで固定)、下穴をあけビスで固定します。
2枚目以降の床板は墨線に合わせ、1枚目と同様にビス止めしていきます。
注意点
天然木のウッドデッキ材は、海外で製材されるものが多く、材自体の収縮もあり、商品サイズに対し5mm程度の誤差が出る場合があります。
その為、計算上の取り付け間隔に印した墨線に床板をピッタリ合わせて固定すると、床材の隙間が広くなったり狭くなったりしてしまう事があります。
墨線ピッタリに合わせて固定する事に固執せず、床板1枚1枚の幅の誤差を考慮に入れ、床板の取り付け位置を調整しながら床張りをする必要があります。
スペーサーを使用する方法
床材の隙間寸法を設定したら、隙間寸法と同じ厚みのスペーサーを用意します。
1枚目の床板を前述の ”床板の取り付け位置をあらかじめ墨付けしておく方法” の1枚目の取り付けと同様に、なるべく反り・曲がりのない真っすぐな材を選んで基準に合わせ固定します。
2枚目以降は、固定してある前の床板との間にスペーサーを挟み込み、固定する床板を押し当て(クランプで固定)、ビス止めしていきます。
注意点
スペーサーを挟みながら床張りを進めていくと、基準となる1枚目の床板との平行が徐々にずれてしまいがちです。
数枚床板を固定したら、1枚目の床板からの距離を両端と中央から計測し、ずれ具合を確認します。
ずれがあったら、その次の床板から1枚目と平行になる様に固定位置を修正していく(スペーサーの使用は臨機応変にする)必要があります。
設計上では、用意した床板の枚数でピッタリ収まるように計算されていても、スペーサーを使用した床張りではずれが出やすく、床材の商品サイズに対する誤差もある為、最後の1枚がはまらなくなったり枚数が足りなくなったりする可能性があります。
そのような場合は、仕上げる前の数枚で床板間の隙間を調整し、最後の1枚がピッタリ収まる様にします。
床板の反り・曲がりの修正方法
天然木の床板は、反りや曲がりが酷いものの多く、修正をしながら取り付ける必要があります。
反りや曲がりがある床板は、一番端を所定の位置へビス止め・固定したら、端から順に反りや曲がりを修正しながらビス止め固定していきます。
曲がりによって、隙間が広がってしまう場合は、クランプで床板を寄せながら固定します。
逆に間隔が狭まってしまう場合は、”インテリアバール” を使用し、適切な間隔に広げて固定します。
床板が山なりに反っている場合は、山になっている側を上面にして、上から押さえつけるように(クランプで矯正)して固定します。
幕板の取り付け
床張りが完成したら、”幕板” を床板の外側を覆うように取り付けます。
”幕板” は、床板の側面を覆い隠し外観をスッキリさせるのと、ウッドデッキの土台フレームをしっかりと固定する役割があります。
幕板には、床板と同樹種・同寸法の材を使用し、束柱・根太に固定します。
周囲全てに幕板を固定したら、ウッドデッキの完成です。
まとめ
今回は、天然木による ”床張り” のやり方を説明しました。
床板の耐久性を重視するなら、天然木の中でも、今回使用した ”イタウバ・マットグロッソ” のようなハードウッドがおススメです。
ただし、天然木(ハードウッド)を使用する際にはいくつかの注意点があります。
- 固定には、堅木用のステンレスビスを使用し、必ず下穴をあけてからねじ込みます。(床板はビス止め箇所が多い為、皿取錐やドリルストッパーの使用がおススメです)
- 反りや曲がりなどが酷い材も多いので、配置を考慮したりや修正が必要です。
- 材の寸法が規格とあってない場合も多いので、床板の隙間を利用し、固定位置を調整しながら床張りする必要があります。
以上の注意点に気を付けて床張りを行うようにしてみてくださいね。