インテリアの中に自分好みのスツールがあったらいいですよね。
そんなスツールをDIYで作ってみませんか?
そこで今回はシンプルなスツールの作り方と北欧風のファブリックを使用した座面の張り方をお教えします。
今回DIYするファブリックスツールはこちらです。
材料と道具
スツールフレーム部分材料
- 脚 ホワイトウッド・40mm×30mm×約420mm 4本
- 幕板(左右) ホワイトウッド・50mm×30mm×約200mm 2本
- 貫(左右) ホワイトウッド・40mm×30mm×約240mm 2本
- 幕板(前後) ホワイトウッド・40mm×30mm×350mm 2本
- 貫(中央部) ホワイトウッド・40mm×30mm×361mm 1本
- 補強材 ホワイトウッド・40mm×30mm×170mm 2本
- 隙間材 ヒノキ・厚み5mm×20mm 長さ280mm・2本 長さ150mm・2本
- ビス各種
- 木工用接着剤
- 木ダボ(8mm)
スツールフレーム部分使用道具
- スライドマルノコ
- インパクトドライバー
- トリマー(6mmストレートビット・ストレートガイド使用)
- 玄翁
- スコヤ
- ダボ錐(8mm)・ドリルビット
- クランプ各種
- アサリ無しノコギリ
座面部分材料
- ラワンべニア 厚み・12mm×幅・240mm×長さ・350mm
- チップウレタン 厚み・20mm×幅・500mm×長さ・500mm
- 仕上げ用ウレタン 厚み・10mm×幅・600mm×長さ・600mm
- スプレーのり
- 座面生地 約600mm×約490mm
- 底張り生地 約280mm×約390mm
- タッカー替え芯
座面部分道具
- カッター
- 裁ちばさみ
- タッカー
- 目打ち
- ラジオペンチ
スライドマルノコによる部材カット
今回のスツールは左右側面の脚が斜め(85°の傾斜)になっています。
脚と接合する幕板・貫(ぬき)の端部も同じく斜めにカットする必要があります。
スライドマルノコを使用し部材の角度カットをしています。
ターンベースを85°に設定・固定し、脚・幕板・貫の両端部をカットします。
脚は平行四辺形に、幕板・貫は台形になるようにカットします。
脚は平行四辺形の長い辺を402mm、幕板は長い辺を178mm、貫は長い辺を223mmになるようにカットします。
その他の部材の端部は直角で所定の寸法にカットします。
スライドマルノコに関してはスライドマルノコとは?機能と使い方を ”マキタ・LS1014” で説明します。の記事を参照してください。
トリマーによる欠き取り加工
スツールの前後の幕板は、脚の上端から10mm下がった位置に接合します。
10mm下がった幕板の上に座面が乗る形で収まります。
完成した座面の左右側面は左右幕板の内側側面と合わさります。
座面側面と脚が干渉しないように、脚の角部分を欠き取っておく必要があるので、トリマーを使用し欠き取り加工をします。
※トリマーの使い方について詳しくは、トリマーの使い方と構造について詳しく説明します。 の記事を参照してください。
脚の内側になる面を上にして、欠き取り加工をします。
トリマーにストレートガイド・6mmストレートビットを装着します。
ストレートガイドとビットの外側までの幅を10mmにセットします。
脚上端面にストレートガイドを沿わせて溝切削をしていくので、ビット外側までの幅を10mmにする事により前後幕板の段差10mmの位置に溝をほる事が出来ます。
欠き取り加工する部材に同じ厚みの捨て板を一緒にクランプで固定します。
捨て板を使うことにより、トリマーベースの接地面が増え、トリマー本体を安定させて加工することが出来ます。
トリマーの切削終わりにバリや割れが出ることも防ぐことも出来ます。
1回目の切削はストレートガイドを脚上端面に沿わして切削します。
欠き取り部分の下限(脚上端から10mm下がった位置)に沿った溝がほれます。
残っている部分はトリマーを右に移動し、ベースをしっかりと加工部材・捨て板に接地させ、トリマーが傾かないようにして切削します。
欠き取りの深さは5.5mmにします。
ストレートビットの出を2回に分けて切削します。
スツールフレーム部の組み立て
端部が斜めの幕板・貫と脚の接合
脚と端部が斜めの幕板・貫をビスで接合します。
ビスの頭を木ダボで隠す “ダボ埋め” で仕上げるので、脚のビス止めする所にダボ錐で下穴をあけます。
脚が地面に対し斜めになる構造の為、脚に対し垂直に下穴をあけると幕板・貫に対し斜めに下穴があいてしまいます。
ビスが幕板・貫を突き抜け無い様に、幕板・貫に対し真っ直ぐ下穴をあける必要があります。
部材の下にスペーサーを挟み込み、脚の天端が作業台と垂直になるようにセットします。
電動ドライバーを作業台に対し垂直になるように保持してダボ錐で下穴をあけていきます。
脚外面に対して斜めに下穴をあけることが出来ました。
脚の欠き取り部の側面と幕板の側面が面(つら)になるように接合します。
脚の欠き取り面を下向きにし、5.5mmシナべニアをスペーサーとして幕板の下に挟み込みます。
脚の欠き取り部は5.5mmの深さに欠き取っているので、スペーサーがピッタリ収まります。
5.5mmシナべニアをスペーサーとして挟み込む事で、脚の欠き取り側面と幕板側面を同一面にセットする事が出来ます。
部材をしっかり作業台に押し当て、あらかじめダボ錐であけた下穴の中央に、ドリルビットで幕板木口まで貫通させる下穴をあけます。
ビスを打ち込んで固定すると、幕板側面と欠き取り側面をしっかりと面(つら)にする事が出来ます。
脚と幕板を接合したら、貫を脚の間に挟むようにして接合します。
貫の下端は地面から95mmの高さになるので、両脚の下端に板を渡す様にあてがい、95mmのスペーサーを挟み込んでビス止めします。
脚と端部が斜めの幕板・貫との接合が完了し、左右の脚部が組みあがりました。
前後幕板と補強材の枠制作
前後の幕板と補強材を接合して、座面を受ける枠を作ります。
前後の幕板と補強材の接合部分は補強材が5.5mm出っ張る形になります。(脚と左右の幕板の接合の際、5.5mm厚のスペーサーを挟んでビス止めしたため)
実際に左右の脚部にあてがってビス止めします。
補強材が5.5mm出っ張った枠が出来あがりました。
左右の脚部と枠・貫との接合・ダボ埋め・他
枠・補強材の内側から脚部の幕板へビス止めしていきます。
補強材(枠)の上端は脚の欠き取り部分の底面と面(つら)に、下端は幕板の下端と面(つら)になります。
枠と脚部を接合したら、脚の外側から枠の幕板へビス止めします。
脚部のビスや枠のビスに干渉しないようにビス止めしていきます。
貫(中央部)を左右の脚部貫にビス止めしたらスツールフレームの組みあがりです。
ダボ錐で下穴をあけた箇所に、木工用接着剤を塗布したダボを打ち込んでいきます。
はみ出た木工用接着剤を拭き取り、乾燥させます。
しっかりと乾燥出来たら、アサリ無しノコギリでダボの余分な部分をカットします。
座面のラワン合板に生地を張る際、角の部分は生地を手繰り寄せてとめるため、座面の裏に厚みが出来てしまいます。
4ヶ所の角で座面を支える事になり、ラワン合板が浮いてしまい、幕板との間に隙間が出来てしまいます。
幕板・補強材の枠の上端(4つ角の部分を除く)に、5mm厚の部材を貼り付け、ラワン合板が浮いてしまうのを防ぎます。
前後幕板の裏面に座面取り付け用の下穴をあけます。
全体をサンドペーパーがけします。
ファブリックスツールのフレーム部が完成しました。
座面製作・椅子張り
座面合板にチップウレタンを貼り付け
座面のベースとなる座面板は12mm厚のラワン合板を使用します。
4隅の角はトリマーでR加工しておきます。
生地が座面板の角に当たって擦り切れる事が多いので、サンドペーパーで全体的に面を取っておきます。
クッション材のベースに20mm厚のチップウレタンを使用します。
チップウレタンはウレタンフォームの端材を接着剤と混ぜ合わせ再成型したリサイクル製品です。
へたりにくく、型崩れしない固めのクッション材になります。
チップウレタンの上に座面板をのせ、マジックで寸法を写し取ります。
今回は四角の座面板なのでチップウレタンの角に合わせてのせますが、座面板とチップウレタンの間に3mm程度の余白をとっておきます。(マジックの太さと同等の余白)
座面板の面は取ってありますが、角に直接生地が当たる事はよくありません。
チップウレタンを座面板より若干大きな寸法にカットする必要があります。
マジックで引いた墨線の外際をカットする事により、3mm程度の余白を取る事が出来ます。
チップウレタンの形状が生地を張った後の形状に出てしまうので、綺麗に形を整える事が重要です。
角のR部分は裁ちばさみでカットします。
座面上側になる面の角を2mm程度面をとっておきます。
座面板とチップウレタンの接着には、スプレーのりを使用します。
座面板とチップウレタンの接着面両方にスプレーのりを塗布します。
スプレーのりを塗布出来たらすぐに張り合わせます。
チップウレタンを下にし座面板を上から張り合わせますが、周囲の余白が均等になるように慎重に張り合わせます。
チップウレタンを上側にし、しっかりと押し付け張り合わせます。
仕上げウレタンの貼り付け
チップウレタンと座面板側面を包む様にして仕上げのウレタン(10mm厚・柔らかめ)を貼っていきます。
仕上げのウレタンを使用すると、座り心地が良くなり座面の丸みを綺麗に仕上げる事が出来ます。
仕上げウレタンの上にチップウレタンを貼り付けた座面を置き、実際の貼り付け寸法より少し大きめに墨線を引きます。(スプレーのり塗布箇所を分かり易くするため)
チップウレタンの上面と側面、座面板の側面にスプレーのりを塗布します。
側面部分はスプレーのりが塗布しずらいので、塗り残しの無いよう丁寧に作業します。
仕上げのウレタンにスプレーのりを塗布します。
マジックで印した墨線を目印に、チップウレタン・座面板の側面と接着する箇所を重点的に塗布します。
仕上げウレタンの墨線を目安に、チップウレタン・座面板が真ん中に来るように乗せ貼り合わせます。
仕上げウレタンとチップウレタンが固定出来たら、側面を貼り合わせていきます。
仕上げウレタンを多少引っ張り上げながら、チップウレタン・座面板の側面に押し当てて貼り合わせます。
角の部分は表面にしわが寄らないように引っ張りながら貼り合わせます。
側面の貼り合わせは仕上げウレタンを引っ張り過ぎると、表面の形が綺麗に仕上がりません。
引っ張り過ぎず、均等な力加減で全体を貼り合わせる事が重要です。
余分な仕上げウレタンを裁ちばさみでカットします。
仕上げウレタンは座面板裏面より2mm程度出っ張る様にカットし、座面板の角に生地が直接当たらないようにします。
側面・角の部分をしっかり押し付けたらウレタンの貼り合わせが完了です。
生地の張り加工
スツールの生地は “タッカー” と呼ばれるホッチキスの強力版でとめていきます。
布や皮の固定や、住宅の防水シートの固定まで様々な所で使用されています。
芯の長さが色々あり、座面板の厚みより長い芯を使用すると突き出てしまうので注意してください。
タッカーの打ち直しなどで芯を取り外す際、目打ちやラジオペンチがあると便利です。
生地は座板寸法より縦横250mm程度大きく(約600mm×約490mm)裁断し用意します。
生地の長手(スツールの前後になる)の中央に目印の切れ目を入れます。
切れ目を入れた場所の縫い目をたどって反対側にも切れ目を入れます。
座面板の中央に墨線を引きます。
生地の切れ目と座面板の墨線が合う様にセットします。
生地を折り返し、多少引っ張りながら座面の墨線と切れ目を合わせて、タッカーで仮止めします。
生地を座面の墨線に合わせて前後に仮止めしたら、ひっくり返し、表面の生地のよれが無いか確認します。
よれや縫い目のずれがある場合は、座面に対して真っ直ぐになる様に修正しておきます。
生地のよれ等を修正したら左右の生地も仮止めします。
4隅の角から生地を張っていきます。
座面の左右側面から生地を折りこんでいきます。(スツールの正面になるべく折り目を見せないようにするため)
前面にしわがよらないように引っ張りながらタッカーでとめます。
タッカーは一つの角に3カ所打ち込んで生地を固定します。
4隅すべての角が固定出来ました。
座面板の前後に仮止めしたタッカーの片方を外します。
表面から生地をよせ、固定してある角の部分と縫い目が揃う様に調整して新たにタッカーで固定します。
タッカーをとめる位置は座面板中央、端から20mm程度の場所にします。
中央から角に向かってタッカーを打って生地をとめていきます。
縫い目が座面に対し真っ直ぐになっているかどうか、裏面・表面を見て確認しながらタッカーをとめていきます。
前後の片方がタッカーで固定出来たら、もう一方を同じようにタッカーで固定します。
前後が固定出来たら、左右を同じようにタッカーで固定します。
余分な生地を裁ちばさみでカットします。
生地がほつれてタッカーから外れないように、タッカーから2mm程離した位置をカットします。
角は生地が重なり合っているので何回かに分けカットします。
スツールの生地が張り終わりました。
底張り
底張りは、座面生地から出るほつれ糸が落ちなくするのと、見た目を綺麗に仕上げるために行います。
底張りの生地は基本的にどんな物でもいいのですが、あまり厚みがあるものだと正面から見えてしまうことがあるので薄めの生地が良いでしょう。
生地の端を内側に織り込んでタッカーでとめていくので、座面板より大きめに(今回は20mm程度)用意します。
裏張りの範囲は、座面生地を固定しているタッカーが隠れる様に四角に張ります。
はじめに4隅の角から固定していきます。
生地の角を内側に折りこんで、座面の角にタッカーでとめていきます。
1つの角にタッカーを2ヶ所打ち込んで固定します。
裏張りの生地は内側に折りこんでいるので、厚みが出ないように生地の際(きわ)ぎりぎりにタッカーを打ちます。
生地がよれないように4隅の角を固定します。
角と角の間は等間隔にタッカーを打っていきます。
裏張りは隙間なくタッカーを打つ必要がないので間隔をあけて打ち込みます。
ファブリックスツール完成
スツールのフレーム部と生地を張り終わった座面をビス止めします。
北欧風ファブリックスツールの完成です。
まとめ
今回は北欧風ファブリックスツールの作り方、特に椅子の張り方について説明いたしました。
椅子の張り方は、張り替えの際にも使える方法ですし、自分好みの椅子を作る事が出来るのでぜひチャレンジしてくださいね。