ウッドデッキは屋外に設置される為、雨風や日光の紫外線の影響を受け劣化していきます。
ウッドデッキを長持ちさせるためには、木材の劣化を防ぎ保護する ”木材保護塗料” を塗装しておく必要があります。
しかし、木材保護塗料と呼ばれる塗料は多種多様で、どれを選んだらよいか迷うところです。
今回は、ウッドデッキに適した木材保護塗料の種類と選び方のポイントを説明し、おススメの木材保護塗料を紹介していきます。
浸透系塗料と造膜系塗料
屋外の木材保護塗料には大きく2つの種類に分けることが出来ます。
“浸透系塗料” と “造膜系塗料” です。
“浸透系塗料” とは、木材表面に塗膜を作らず、木材内部に保護塗料が浸透して効果を発揮します。
塗膜を作らないので木目等木の表情を損なわず、塗り替えが比較的簡単に出来ます。
浸透系塗料には、 “植物性オイル塗料” “油性ステイン塗料” “水性ステイン塗料” があります。
“造膜系塗料” とは、木材表面に塗膜を作り外部からの影響を受けなくする事で木材を保護します。
木目等木の表情は無くなりますが、比較的長期にわたって木材を保護してくれます。
劣化してくると剥がれやめくれが起こり、塗り替えは前の塗装を完全に除去してから行わなければならないので非常に手間がかかります。
ウッドデッキに適した木材保護塗料とは?
“浸透系塗料” と “造膜系塗料” 、ウッドデッキに適した木材保護塗料は “浸透系塗料” です。
ウッドデッキに造膜系塗料を使用した場合、塗膜の上を素足等で歩いたり触れたりするので摩耗する事は勿論、剥がれやめくれが起こった際の怪我などが問題です。
浸透系塗料は塗膜を作らず人体にも優しい物が多く、メンテナンスも比較的簡単なのでウッドデッキ塗料として最適です。
浸透系木材保護塗料の種類と比較
“浸透系木材保護塗料”(植物性オイル塗料・油性ステイン塗料・水性ステイン塗料)にはどの様な塗料があるのかそれぞれを比較しながら説明します。
植物性オイル塗料
オスモカラー・ウッドステインプロテクター
オスモカラーの “ウッドステインプロテクター” です。
ドイツ生まれのオスモカラーはひまわり油を主原料とした植物性オイル塗料で、世界的に有名です。
”ウッドステインプロテクター”は、半透明着色仕上げで木の呼吸を妨げず、撥水性・耐候性・耐紫外線性能があります。
SPF材にウッドステインプロテクター・オークを塗装してみます。
ウエスで拭き取ったりせず刷毛等で塗りっぱなしで良いですが、多少の粘度があり、ゆっくりと木材に浸透していきます。
2度塗りが基本ですが、下塗り後4~6時間の乾燥で上塗りが出来るので1日で塗装を終えることが出来ます。
耐用年数は使用条件に大きく左右されますが、3~5年を目安としてメンテナンス・塗り替えが必要になります。
オスモカラーは室内用に関しては非常に安全な塗料ですが、屋外用には防虫・防腐などの為に有害薬剤が含まれており、注意が必要です。
リボス・ドノス
ドイツ・リボス社の “ドノス” です。
リボス社の植物性オイル塗料は有害な薬剤は一切入っておらず、ヨーロッパの安全規格に適合していて、子供がなめたりしても安全な玩具塗料としても使用されます。
”ドノス” は、高い耐候性と撥水性がある防腐塗料ですが、有害な防腐薬剤を含んでいません。
SPF材にドノス・ウォルナットを塗装してみます。
塗料の粘度が低くい為、伸びが良く木材への浸透性に優れています。
2度塗り(塗りっぱなし)が基本ですが、塗料の伸びが非常に良い為、コストパフォーマンスに優れた塗料といえます。
耐用年数は使用条件に大きく左右されますが、3~5年を目安としてメンテナンス・塗り替えが必要になります。
リボス社製の木材保護塗料には他に、”タヤエクステリア” がありますが、ドノスに比べて価格が高めです。
植物性オイル塗料の塗装に関して
植物性オイル塗料の塗装には、油性・水性両方の塗料が塗装出来る ”万能刷毛(または油性専用刷毛)” 、広い面積や粘度の高い塗料を塗装する際には ”コテバケ” ”ステインコテバケ” ”平刷毛(塗装用ラスター刷毛)” などを使用します。
(コテバケ使用時には、塗料を入れる受皿を用意し塗装します。)
植物性オイル塗料は高耐久のハードウッド(イタウバやイペなど油分の多い木材)に塗装すると、浸透しづらく、塗装不良(乾燥が不完全・塗料が定着しない)が起こりやすいです。
必ず試し塗りをし、塗装不良が起こらないかどうか確認する必要があります。
オイル塗装の際に注意すべき点が、塗装に使用した用具の後処理です。
オイル塗料が付着したまま用具を放置すると、酸化熱を発生させ自然発火する可能性があります。
使用した用具はすぐに専用の洗浄液で洗浄するか、水に浸して処理するようにします。
油性ステイン塗料
キシラデコール
ドイツで開発された高性能木材保護塗料 “キシラデコール” 。
ステイン塗料とは顔料を含み、木材に着色する塗料です。
油性塗料とは溶剤(塗料の成分を溶かすための液体)がシンナーなどの有機溶剤を使用している塗料です。
キシラデコールは油性ステイン塗料なので、有機溶剤を含んでおり、塗装時のにおいがきつく換気をしっかりして作業する事が必要です。
SPF材にキシラデコール・ウォルナットを塗装してみます。
キシラデコールは非常に粘度が低くシャバシャバした状態で塗り広げ易いですが、SPF材は樹脂成分が多い為、塗料を弾いて浸透しずらいです。
2度塗りが基本で、重ね塗りは目安として4~6時間以上乾燥させた後で行い、完全乾燥に24時間必要です。
耐用年数は使用条件によって大きく左右されますが、3~5年を目安にメンテナンス・塗り替えが必要になります。
油性ステイン塗料の塗装について
油性ステイン塗料には、植物性オイル塗料と同じで、油性・水性両方の塗料が塗装出来る ”万能刷毛(または油性専用刷毛)” や ”コテバケ” ”ステインコテバケ” などを使用します。
油性ステイン塗料は、植物性オイル塗料と同様に、高耐久のハードウッド(イタウバやイペなど油分の多い木材)に塗装すると、浸透しづらく、塗装不良(乾燥が不完全・塗料が定着しない)が起こりやすいです。
必ず試し塗りをし、塗装不良が起こらないかどうか確認する必要があります。
油性塗料に使用した用具を洗浄する時は、必ず ”ペイントうすめ液(シンナー)” を使用します。
水性ステイン塗料
ガードラック・ラテックス
和信化学工業社製 “ガードラック・ラテックス” です。
水性のため匂いも少なく、粘度も低いので扱いやすい塗料です。
木目など木の風合いを残した仕上がりになります。
人体に無害な薬効成分が徐々に放出され、防虫・防腐・防カビ効果が長く効く塗料です。
SPF材にガードラック・ラテックスのオークを塗装してみます。
ガードラック・ラテックスは非常に粘度が低く塗料の伸びが良いですが、樹脂成分が多いSPF材に対して塗料が弾きやすく、浸透しづらいです。
2度塗り仕上げで、塗り重ねは目安として2~4時間乾燥後に行い、一晩乾燥させます。
耐候年数は使用条件に大きく左右されますが、3年を目安にメンテナンス・塗り替えを検討する必要があります。
オリンピック・マキシマム・セミトランスパーレント
“オリンピック・マキシマム・セミトランスパーレント” (PPGインダストリーズ社製)です。
半透明タイプなので、木目など木本来の風合いを残した仕上がりになります。
防水効果・紫外線防止効果の他、擦り傷・カビに強い塗装面に仕上がります。
SPF材にオリンピックマキシマム・セミトランスパーレント・ダークオークを塗装してみます。
若干粘度が高い塗料の為、通常の刷毛での塗装は塗料を延ばしづらくなります。
1回塗りが推奨(24時間乾燥が目安)されていますが、塗りムラ防止と保護効果の強化の為、2度塗りします。
耐候年数は使用条件に大きく左右されますが、5~6年でメンテナンス・塗り替えの検討が必要になります。
キシラデコール・エクステリア
油性ステイン塗料で有名なキシラデコールには、水性ステイン塗料、”キシラデコール・エクステリア” があります。
油性のキシラデコールよりも乾燥時間が短く、水性の為臭いも少ないですが、油性と同等の防腐・防カビ・防虫効果があります。
水性ステイン塗料の塗装に関して
水性ステイン塗料には、基本的に万能刷毛(または水性専用刷毛)で十分ですが、広い範囲の塗装や粘度が高い塗料(オリンピックマキシマム・セミトランスパーレント)を塗装する際には ”コテバケ” ”ステインコテバケ” を使用します。
水性ステイン塗料は塗料成分を水で希釈しているので、使用した用具は水で洗浄する事が出来ます。
植物性オイル塗料・油性ステイン塗料と同様に、高耐久のハードウッド(イタウバ・イペ等)の塗装の際には、試し塗りをし、塗装不良が起きないかどうか確認してから塗装します。
その他の塗料
オリンピック・マキシマム・クリアー
ステイン塗料はステイン(着色剤)が入っている為、木材が着色されてしまいます。
木材本来の色味・風合いを生かしたい場合は透明の木材保護塗料があります。
中でも、”オリンピック・マキシマム・クリアー”(水性塗料)はウッドデッキ等に使用される高耐久のハードウッド(イペやイタウバなどの油分の多い木材)にも塗装可能な塗料です。
オリンピックマキシマム・クリアーは、防腐・防虫・防カビ・防水・耐紫外線などにおいて優れた塗料で、木部に深く浸透し保護します。
クリアー(透明色)の塗料ですが、実際の中身の色はキャメル色に近く、粘度も高めです。
透明である為、日光の紫外線などの影響を遮る事が出来ず、ステイン系の木材保護塗料より耐候年数が劣ります。(ステイン系の木材保護塗料はステイン(着色剤)が紫外線などを遮る役目をしています。)
同じメーカー商品のステイン塗料 ”セミトランスパーレント” の耐候年数が5~6年程度なのに対し、”クリアー” の耐候年数は3年程度になります。
木材保護塗料を選ぶ際のポイントとは?
木材保護塗料を選ぶ際のポイントは
- 塗装する木材の種類は?
- 塗装する箇所がどの様な使用環境なのか?
という点です。
ウッドデッキに使用される木材には様々な種類があります。(ウッドデッキに使用される木材に関しては、ウッドデッキに適したおススメの木材と選び方のポイントとは? の記事を参照してください。)
塗装する際に注意が必要な木材が、”高耐久のハードウッド” です。
イタウバやウリン、イペのような高耐久のハードウッドは、油分が多く、塗装不良(塗料をはじいて定着しない)が起きやすい木材です。
使用する塗料が高耐久のハードウッドに塗装可能かどうかしっかり確認し、塗装する必要があります。
塗装する部材がどの様な環境で使用されるか、確認・理解する事も重要です。
地面から近い基礎・土台に使用される部材は、湿気などの影響を受けやすく、傷みやすくなります。
基礎・土台部分に使用する塗料は、しっかりとした防腐効果のある塗料を選ぶべきです。
床板は比較的地面からの影響を受けづらいですが、日光の紫外線にさらされ、ひび割れなどが起こりやすい環境になります。
床板に使用する塗料は、ひび割れを起こりにくくし紫外線を防ぐ(有色)塗料を選ぶべきです。
ウッドデッキの設置場所が日当たりの良くない場合は、湿気の影響でカビや腐朽菌(木を腐らせ朽ちさせる菌)を発生しやすくなります。
その様な場合は、防カビ効果は勿論、防水効果もしっかりとある塗料を選ぶべきです。
おススメの木材保護塗料とは?
高耐久のハードウッド(イタウバ・イペ等)を使用した場合
南洋材など油分の多い高耐久のハードウッドには、水性ステイン塗料のオリンピックマキシマム・セミトランスパーレントがおススメです。
高耐久のハードウッドは無塗装の状態でも耐久性は非常に高いですが、使用環境により耐候年数は大きく左右されます。
はじめから木材保護塗料を塗装しておくことで、ウッドデッキの耐久性を格段に高める事が出来ます。
オリンピックマキシマム・セミトランスパーレントは、高耐久のハードウッドに塗装可能で耐候年数も長く(5~6年程度)、水性塗料で扱いやすい塗料です。
高耐久ハードウッドを使用しない場合
高耐久ハードウッドを使用しない場合(防腐剤注入材等を使用する場合)には、リボス社の植物性オイル塗料・ドノスがおススメです。
ウッドデッキは手で触れたり裸足で過ごすため、塗料は安全な物でなくてはなりません。
防虫・防腐・防カビのために有害な薬剤が入っている塗料が多いですが、リボス社の塗料は、人体に有害な成分が入っていないので安心です。
ドノスは、粘度が低い塗料なので伸びが良く、コストパフォーマンスに優れている点もポイントです。
まとめ
今回はウッドデッキに適した木材保護塗料(浸透系塗料の種類・選ぶ際のポイント・おススメの木材保護塗料)について説明しました。
ウッドデッキは定期的なメンテナンスを行うことで、長持ちさせることが出来ます。
ウッドデッキに使用する木材保護塗料には優れた保護効果が求められるのは勿論ですが、塗り替えなどのメンテナンスのやりやすさ・塗料の安全性も重要な要素です。
参考にしてみてくださいね。