北欧の家具っていいですよね。
そんな北欧テイストの家具をDIYで作ってみたいと思いませんか?
お部屋のパーテーションとして使用出来、グリーンなんかもディスプレイ出来る “北欧風ブックシェルフ” の作り方と雇いざねはぎのやり方を説明します。
今回DIYするブックシェルフはこちらです。
材料
全てホームセンターで揃える事が出来ます。
- パイン集成材(厚み・18mm×幅・300mm×長さ・1820mm) 3枚
- パイン集成材(厚み・15mm×幅・450mm×長さ・1820mm) 1枚
- ホワイトウッド(45mm×45mm×長さ・1820mm) 1本
- ホワイトウッド(30mm×40mm×長さ・1820mm) 1本
- シナべニア(5.5mm×幅・300mm×長さ・910mm) 1枚 ⇨さね用・幅・17ミリに割く
- 鉄丸棒(6mm×900mm) 2本
- 木工用接着剤
- コーススレッド(側板用・41mm、脚部接合用・32mm)
- スリムスレッド(脚と幕板接合用・75mm、天板と囲い板・底板と中仕切り板用・40mm)
- 木ダボ(8mm)
- 塗料(カンぺハピオ・アーチブラック、カラーパレット・ブラジリアンローズ)
道具
- 電動ドライバー
- ダボ錐(8mm)、ドリルビット(2mm、6mm)
- コンベックス・さしがね・スコヤ
- 玄能
- のこぎり(アサリ無し)
- トリマー(横溝ビット6mm、ストレートビット6mm、角面ビット使用)
- クランプ
- 刷毛・コテ刷毛・塗料受け皿
- 竹ブラシ
- ウエス・サンドペーパー
- マルノコ・マルノコ定規
各部材の名称
ブックシェルフの各部の名称です。
これらの名称を使って作り方を説明していきます。
板材のカット
各部材のカット寸法
板材はすべてパイン集成材を使用
- 側板 厚み・18mm×幅・300mm×長さ・800mm 2枚
- 天板・底板・棚板 厚み・18mm×幅・300mm×長さ・864mm 3枚
- 天板上囲い板 厚み・18mm×幅・132mm×長さ・864mm 2枚
- 中仕切り板 厚み・15mm×幅・450mm×長さ・約320mm 4枚(木目方向の寸法を長さ寸法としています。)
なるべくホームセンターの木材カットサービスを利用し各部材に切り分けてもらいましょう。
ご自身でカットされる方には、マルノコを使用したカットの方法を紹介します。
マルノコの詳しい使用方法等に関しては、マルノコの使い方と構造について詳しくお教えします。 の記事を参照してください。
マルノコでのカット時の共通事項。
ホームセンターなどで購入してきた木材、特に集成材などそのまま使用できる材料は、部材をカットする際端から寸法を測ってしまいがちです。
しかし、木材の運搬途中や店舗でのディスプレイの状態によって、材料の端(木口面)はへこんで直線になっていなかったり、異物(砂など)等が食い込んだりしています。
材料の端(木口面)から部材として使用するのではなく、必ず “端切り” を行ってから部材の寸法を測ります。
※ “端切り” とは木が傷んでいたり、直角が出ていない端の部分をカットし、真っ直ぐで直角の出ているキレイな面を出す事。今回は端から5mm~10mm程度切り落とします。
木工での部材カット全般に言える事ですが、特に “箱物家具” で正確な物を作るためのポイントは、同じ寸法の部材は一緒にカットする事です。
左右の側板同士、天板と底板、棚板同士など寸法が同じ場合は、クランプで固定し、一緒にカットします。
同じ寸法に墨付けし一枚一枚別々にカットすると、どうしても寸法のずれが出てしまうので、可能な限り同寸法の部材は一緒にカットする様にしましょう。
自作マルノコ定規による幅の狭い部材のカット
長さが長く幅の狭い部材をマルノコでさく場合、平行定規を使用します。
平行定規はさく幅が広くなるにつれ、正確な幅のカットが難しくなってきます。
今回天板上の囲い部材(幅132mm)の場合は自作マルノコ定規でカットした方が正確にカット出来ます。
自作マルノコ定規のガイド部の幅を狭くし、定規全体の幅を縮めたものを用意します。
自作のマルノコ定規の作り方に関しては、マルノコの使い方と構造について詳しくお教えします。 の記事を参照してください。
使用する部材はマルノコ定規が乗っている下の部分になります。
マルノコ定規のガイド部分の幅を狭くしたことにより、マルノコのモーター部と定規を固定する為のクランプが干渉し、切り進める事が出来なくなる場合があります。
クランプの位置がマルノコと干渉せずカット出来るか確認してから作業する事が必要です。
マルノコ定規をクランプで固定し、カットしていきます。
平行定規を使用するよりも安全で正確なカットが出来ました。
雇いざねはぎのやり方
“雇いざねはぎ” とは板材同士をはぎ合わせ(接合する)、幅の広い部材を作る時などに行われる方法です。
はぎ合わせる部材の接合面両側に溝を掘り、その溝に合うさね(実)とよばれる材を挟み込み接着剤で接合します。
今回は、2枚の板材を雇いざねはぎで接合し、中仕切り板を作製していきます。
2枚の板材を雇いざねはぎし、中仕切り板を作製
「450mm×320mm」にカットした部材を2枚はぎ合わせて1枚の中仕切り板にします。
中仕切り板の仕上がり寸法は「864mm×307mm」ですが、はぎ合わせる前に仕上がり寸法にカットしてしまうと、はぎ合わせの時のずれや部材の直線・直角が狂ってしまう事があります。
はぎ合わせる前の部材は少し大きめにしておき、はぎ合わせた後仕上がり寸法にカットします。
はぎ合わせる面を購入したままの状態で合わせてみると隙間が見えます。
隙間なく接着する為に、はぎ合わせる面をマルノコ等で数ミリカットし、ピッタリくっ付くようにしておきます。
溝ほり加工
はぎ合わせる板材両方の木端面に、横溝ビットを装着したトリマーで溝ほり加工をします。
今回の横溝ビットは溝幅6mm・深さ9mmの溝加工が出来ます。
よってさねを挟み込むスペースは6mm×18mmになります。
6mm×18mmピッタリのさねを挟み込もうとすると、接着剤の分のスペースが無く、はぎ合わせ部分に隙間が出来てしまいます。
接着剤を考慮して、さねは5.5mmのシナべニアを17ミリに割いたものを用意します。(ホームセンターでカットしてもらいましょう。)
はぎ合わせる部材の厚み15mmの大体真ん中に溝がくる様にビットを調整し溝ほり加工します。
さねの長さははぎ合わせる面の長さより少し長めにしたものを用意し、実際にさねを挟みはぎ合わせ面がピッタリつくかどうか確認しておきます。
はぎ合わせ前準備
雇いざねはぎは、接着剤を塗布し、クランプで圧締して接合します。
スヌーズに接合作業を行わないと、接着剤が乾燥てしまい、接合面にズレや隙間が発生してしまいます。
事前に準備とシュミレーションをしておく事が重要です。
はぎ合わせにはパイプクランプを3本用意し、当て木を含めた幅にクランプをセットしておきます。
パイプクランプに関しては、クランプの種類と使い方とは? の記事を参照してください。
クランプの圧締力を接合面に真っ直ぐ伝える為には、クランプ金具の締め付けネジ軸の延長上(クランプ金具のゴムパッドの中央部分)に部材が位置するようにしなくてはなりません。
部材の下に端材など適当なスペーサーをかませて高さを調整しておきます。
木工用接着剤、はみ出た接着剤を拭き取るウエス・水(カップ等に用意)・接着剤を塗り伸ばす竹ブラシ等を用意出来たら、いよいよはぎ合わせます。
はぎ合わせ
はぎ合わせる両部材の木端面に木工用接着剤を塗布します。
溝の中にもしっかりと塗布する為に、竹ブラシを使用し接着剤を塗り広げます。
接着剤を塗り広げられたら、溝にさねを差し込み、両部材で挟み込みます。
素早くクランプで圧着します。
2本のクランプは部材の下から両端を挟み、もう1本は上から中央を挟みます。
片側(下側)だけで締め付けると部材が反ってしまうことがあるので、バランスを保つため反対側からも締め付けます。
クランプの締具合は経験が必要ですが、強く締めすぎると材が破損したり、曲がったりしてしまうので注意してください。
圧着すると接着剤がはみ出ますので、水で湿らしたウエスで表裏しっかりと拭き取ります。
半日ほど圧着します。
仕上がり寸法にカット
雇いざねはぎが出来たら、仕上がり寸法にカットしていきます。
中仕切り板は2枚あり同じ寸法なので、重ねて固定しカットしていきます。
基準となる長手の直線を出していきます。
マルノコ定規をあて、5mm程度マルノコで切り落とします。
直線を出した面から仕上がり寸法(307mm)に墨付けし、マルノコでカットします。
短手の寸法が決まったら、長手の仕上がり寸法(864mm)にカットしていきます。
短手の端を5mm程度カットし基準の直線を出します。
カット面の直角をスコヤで確認します。
基準の面から長手仕上がり寸法(864mm)に墨付けしカットしていきます。
同寸法の中仕切り板が2枚出来上がりました。
雇いざねはぎ、その他の箇所の加工。
側板と中仕切り板の接合部分、天板・棚板と中仕切り板の接合部分も雇いざねはぎになります。
側板・天板・棚板は部材の面部分に、中仕切り板は部材の木端面に溝加工します。
側板・天板・棚板のさねが収まる溝は6mmのストレートビットで切削します。
各部材(側板・天板・棚板)の木端から溝までの距離が同じなので、ストレートガイドを使用し、ビット・ガイド間を50mmにセットします。
溝の深さは9mmなので、何回かに分け切削し、ノギス等で深さを確認します。
天板・側板の溝は端まで通しますが、側板は天板・地板の間に収まる様に途中でとまる溝をほるので注意が必要です。
中仕切り板の木端面(側板・天板・棚板と雇いざねはぎする箇所)に横溝ビットで溝をほります。
トリマーベースと横溝ビットの内寸が5mmになる様に調整します。
中仕切り板下側は左右短手の木端面にのみ溝を切削し、上側は木端面一周に溝を切削します。
面取りと素地調整
各部材の角を45°角面ビットを使用しトリマーで面取りしていきます。
面取りが出来たら、角の角度を崩さないようにサンドペーパーをかけます。
部材の全体も軽くサンディングしておきます。
側板の木端面と天板・棚板・底板の木端面がフラット(面・つら)に接合します。
角面をトリマーで切削する際、側板の角面加工を途中で止め、底板の角面と側板の角面をつなげます。
脚部の部材カットと組み立て
脚部の幕板はホワイトウッド(30mm×40mm)を長手・720mm(2本)、妻手・180mm(2本)にカットしておきます。
ブックシェルフの脚は少し斜めにカットしていきます。
ホワイトウッド・45mm角材の片側を斜めにカットする墨を印します。
自作のマルノコ定規を使用しカットします。
カットする部材のみに定規を当ててカットしようとすると、不安定で危険です。
カットする部材と同じ厚みの添木を用意し、両者をクランプで固定します。
墨線に合わせて定規を固定しマルノコでカットします。
墨線どうりの斜めカットが出来たら、脚の長さを仕上がり寸法100mmより少し長め(105mm程度)にカットしておきます。
脚を仕上がり寸法の長さ100mmにカットします。
同じ厚みで長さが長め(マルノコの直角定規がしっかり固定出来る長さ)の添木を用意します。
脚(今回は2脚ずつ)と添え木をクランプで固定します。
直角定規がしっかり当てられ、マルノコも安定してカットする事が出来ます。
4本の脚の長さがカット出来たら、幕板と接合していきます。
ビスの頭をダボで隠す為、ダボ穴(8mmのダボ錐使用)をあけます。
後でビスが干渉しないようにダボ穴の場所をずらしてあけます。
ダボ穴のセンターに、脚の割れ防止の為のビス下穴をあけておきます。
ビスと木工用接着剤を併用して幕板を接合していきます。
脚と幕板のビス止めが完了したら、ダボを打ち込み、余分な部分をカットします。
脚部と本体部はビスでとめます。
脚部から本体部に向けてビスを打ち込むので、ビスの頭が収まるための穴(8mmダボ錐使用)をあけます。
全体にサンドペーパーをかけたら、脚部の完成です。
本体組み立て。
棚板・底板と中仕切り板(下部)を接合
棚板・底板と中仕切り板(下部)の接合はビス止めで行います。
棚板と底板で中仕切り板(下部)を挟み込むようにして外側からビス止めしていきます。
本をディスプレイする側から45mm内側に中仕切り板が接合するので、45mmのスペーサーを挟み込みます。
木工用接着剤を塗布しビス止めして、棚板・底板と中仕切り板(下部)の接合が出来ました。
天板・棚板(上面)と中仕切り板(上部)を雇いざねはぎで接合
天板・棚板(上面)と中仕切り板(上部)を雇いざねはぎで接合します。
クランプ・当て木を接着時と同じにセットしておきます。
側板と中仕切り板(上・下部)の接合は雇いざねはぎです。
側板と中仕切り板の接合時のさねと干渉を避ける為、天板・棚板(上面)と中仕切り板(上部)のさねは中仕切り板の幅より短くしておきます。
木工用接着剤を塗布し天板・棚板と中仕切り板(上部)にさねを挟み込んだらクランプで圧締・接着します。
天板の上に囲い板を取り付けます。
部材に木工用接着剤を塗布したらを、天板裏側からビス止めします。
側板の接着。
側板と中仕切り板の接合は雇いざねはぎですが、他の箇所(天板・囲い板・棚板・底板)と側板はビス止めで接合します。
ビス頭をダボで隠すため、8mmのダボ錐を使用しダボ埋め用の下穴をあけていきます。
本をディスプレイする側に、本を支えるバーを取り付けます。
バーには6mmの鉄丸棒を使用します。
パーツクリーナーで脱脂した後、艶消し塗料(アーチブラック)で塗装しておきます。
鉄丸棒を取り付ける穴を側板の内側にあけます。
側板の厚みの途中で止める穴(貫通させない)をあけるので、ビットの先端がネジタイプではなく、三角タイプのドリルビットを使用します。
(ドリルビットの先端がネジタイプの場合、ビットが回転するだけで切り込んでいってしまいます。三角タイプの場合はこちら側が押し込む量だけ切り込んでいくので、止めたい深さで切削を終える事が確実に出来ます。)
下穴が側板を貫通してしまわないように、深さにあわせドリルビットにマスキングテープで印を付けておきます。
マスキングの位置まで掘り進めます。
当て木、クランプ等をセッティングします。
接着剤を塗布したら素早く圧締する必要があるので、セッティングをしっかりし、十分シュミレーションしてから接着作業を行って下さい。
側板は片側ずつ接着していきます。
中仕切り板と側板の接合部分は雇いざねはぎ、天板・棚板・底板と側板の接合にはビス止めをします。
完全に片側が接着出来たら、反対側を接着していきます。この時本を固定する鉄棒を両側の側板の間に挟み込む事になります。
側板にあけた下穴に鉄丸棒を差し込み挟み込みます。
全体にクランプで圧締します。(木工用接着剤のふき取りをしっかり行います。)
全体が接着出来たら、側板のダボ穴(ビスの頭隠しの為)にダボを打ち込み、余分な部分をカットしておきます。
ブックシェルフの本体部分が組みあがりました。
本体と脚部を合体。
チェスト本体部分と脚部を接合していきます。
木工用接着剤を塗布したら、クランプで所定の位置に固定し、ビス止めしていきます。
ビス止めする時は、打ち込み過ぎて本体底板を貫通してしまわないように注意してください。
ブックシェルフ全体が組みあがりました。
塗装。
塗装をする前にサンドペーパーで素地研磨しておきます。
傷やへこみなどをチェック(修正出来る所は修正しておく)しながら研磨します。
今回使用する塗料はキャピタルペイント社の “カラーパレット・ブラジリアンローズウッド” です。
水性で着色をしながらウレタン塗装が出来、オイル塗装感のセミグロス仕上げになる塗料です。
一回の塗装で仕上げることが出来ますが、今回は二度塗りして仕上げます。
刷毛で塗装していきますが、広い面が多いので、コテ刷毛(塗料受け皿必要)も使用します。
コテ刷毛は広い塗装面を素早く均一に塗ることが出来ます。
塗装しにくい箇所から塗っていきます。
狭いところは普通の刷毛で、広い箇所はコテ刷毛で塗装していきます。
コテ刷毛を使用する際には、塗料がたれる事があるので注意してください。
塗り残し無く塗装して一回目が完了です。
吸い込みがいいのでセミグロスの仕上がりにはなっていません。
木材は塗装するとケバ立ちが起こります。
二回目の塗装に影響が出るので、色がはげない程度に軽く研磨しケバを取ります。
二度塗りが完了しました。
完成。
パーティションタイプのブックシェルフの完成です。
まとめ
パーテーションタイプの北欧風ブックシェルフの作り方を紹介しました。
今回のポイントは “雇いざねはぎ” です。
“雇いざねはぎ” はトリマーの加工を正確に行えれば、精度の高い接合が行うことが出来ます。
部材の接合方法の一つとして習得しておくと今後のDIYに大変役に立ちます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。