古材や鉄のアイテムを取り入れた “男前インテリア” っていいですよね。
今回はそんな “男前インテリア” の定番、“アイアンシェルフ” を鋼材のカットから溶接まで全てDIYで行うやり方をお教えします。
制作するアイアンシェルフはこちらです。
用意するもの。
フレーム材料
- 等辺アングル鋼(厚み・3mm×25mm×25mm)
長手 長さ・1150mm 6本
短手 長さ・200mm 6本
- 角形鋼管(25mm角)
長さ・800mm 4本
棚板材料
- ラジアタパイン材(厚み・25mm)
幅・約250mm×長さ・約1200mm 3枚
(溶接したフレームに合わせて寸法を決めます。)
塗料等
- カンペハピオ・アーチブラック・艶消し
- ブライワックス・ジャコビーン
- 刷毛
- ウエス
- サンドペーパー
- パーツクリーナー
- ゴム手袋
使用した機械等
- 高速切断機
- アーク溶接機
- グラインダー・研磨用ディスク
- ジグソー
- トリマー・45°角面ビット
- 電動ドライバー・鉄工ドリル3.8mm・面取りカッター
- 石筆
- 鉄工やすり
- 溶接面(遮光面)
- 保護手袋(溶接時使用)
- 溶接棒(スターロード B-1 棒径・2mm)
- 溶接マグネット
- ピッチングハンマー
- 鉄製作業台(BBQ鉄板使用)
- クランプ
- 角形鋼管用キャップ
- 木ネジ 皿頭 3.8mm×20mm
鋼材の切断
アイアンシェルフのフレーム部になるアングル鋼と角形鋼管を所定の寸法にカットします。
鋼材のカットには “高速切断機” を使用します。
高速切断機の使い方等について詳しくは、高速切断機の構造と使い方とは? の記事を参照してください。
鋼材の墨付けには “石筆” を使用します。
“石筆” はろう石(滑石)と呼ばれる鉱石を細かくし筆記具にしたもので、建築現場や鉄工所でコンクリート面や鋼材に墨付けする際に使用されます。
石筆で鋼材に墨付けし、高速切断機にセットします。(切断機のクランプに鋼材がしっかり固定出来る様に鋼材の下に木材をかませておきます。)
墨きわを切断出来る位置に鋼材をセットしクランプで固定します。
多少のバリは出ますが寸法どうりに切断出来ました。
鉄工やすりで切断面のバリを取ります。
鉄工やすりで切断面の角を丸めたり、平面を崩したりしないよう、バリだけを取り除くようにしてください。
鋼材にはさび止めのためにオイルが塗布してある場合があります。
油分は溶接や塗装の時に接着不良の原因になるので “パーツクリーナー” で脱脂しておきます。
※パーツクリーナーは、金属やプラスチックの洗浄・脱脂に威力を発揮し、自動車のブレーキ整備などで使用されています。
鋼材にパーツクリーナーを吹き付け、ウエス等で拭き取ります。
アーク溶接
今回行う溶接はDIYでも出来る “アーク溶接” です。
電気によって溶接棒を溶かし鉄等を溶接する方法です。
溶接には他に “ガス溶接” (資格が必要)や自動車のボディを溶接する “スポット溶接” などがあります。
使用溶接機
今回使用する溶接機はスター電器製造株式会社製の “レッドゴー120” です。
スター電器は “SUZUKID” というオリジナルブランドの小型溶接機を製造して、DIY向け溶接機に力を入れている会社です。
説明書をよく読み込んで注意事項に気を付けます。
警告の文言からもスター電器はなかなかやる会社だということがわかります。
各部名称
フロントパネルからホルダコード・アースコードが出ています。
ホルダコードの先には安全ホルダがあり、溶接棒を挟みます。
アースコードの先にはアースクリッパがあり、溶接物をくわえます。
フロントパネルの出力調整ダイヤルと連動する溶接機上面のインジケータ(出力電流調整器)で電源電流・出力電流・使用率・使用溶接棒のサイズ・溶接板厚を確認する事が出来ます。
リアーパネルには入力電源電圧切替があり、100Vまたは200Vで使用できます。
溶接工程
アイアンシェルフの左右側面になるフレームから溶接していきます。
溶接する際にポイントになるのが材料同志の固定保持です。
溶接時は両手がふさがっていますし材料も高温になります。
そんな時に重宝するのが溶接マグネットです。
中に強力磁石が挟まれていて、鋼材をしっかり保持してくれます。
アイアンシェルフでは直角が重要ですが、溶接マグネットは正確な直角を保持してくれるので大変便利です。
アーク溶接では作業性を上げるために、溶接作業台が鉄で出来ている事があります。
作業台にアースクリッパをかませておけば、溶接材料を作業台に置く(接触させる)だけですぐ溶接が出来ます。
今回は使っていないBBQ鉄板があったので作業台としアースクリッパをかませ本体に電源をつなぎます。
シェルフの支柱の25mm角形鋼管と棚受のアングル鋼を溶接マグネットで直角にセットします。
使用する電気溶接棒はSUZUKIDの “スターロード B-1” (棒径が2mm、適応板厚が2.0mm~4.0mm) を使用します。
溶接棒は芯線(金属の棒)がフラックスという被覆で覆われています。
溶接棒の端に芯線が露出している部分があり、その場所を安全ホルダで挟みます。
棒径に合った出力電流になるようにインジケータで確認しながら出力調整ダイヤルを回し設定します。
溶接時には強烈な可視光線・紫外線・赤外線が発生するので、必ず溶接面(遮光面)を使用し目を保護してください。
溶接時は火花が発生するのでやけど等を避けるために必ず手袋等の保護具を装着してください。
溶接棒で溶接材料(今回は作業台を利用)を引っ掻く様にすると “アーク(電気火花)” が発生します。(アークスタートと言います。)
アークスタートしたら素早く溶接個所に溶接棒を持っていき、5mm程度間隔を取るとアークが持続し溶接を始めます。
溶接個所を左から右へ移動しながら溶接していきます。
溶接棒は進行方向に45°~60°傾けて動かしていきます。
適切な移動速度は経験が必要ですが、溶接物が薄い場合は早く、厚い場合はゆっくり進めていくのが基本です。
正確な位置に棚受材を溶接する為に、石筆で墨付けし、溶接マグネットで固定します。
一方の支柱に棚受材を溶接出来たら、反対側の支柱に棚受材を溶接します。
アイアンシェルフ両サイドのフレームが溶接出来ました。
両サイドのフレームを連結する棚受材を溶接していきます。
溶接マグネットを2個使用して棚受材を固定し溶接していきます。
片側のフレームに棚受材を溶接出来たらもう片方のフレームを溶接します。
両サイドのフレームを連結する棚受材を溶接していきます。
溶接マグネットを2個使用して棚受材を固定し溶接していきます。
片側のフレームに棚受材を溶接出来たらもう片方のフレームを溶接します。
全ての溶接が完了しアイアンシェルフのフレームの完成です。
塗装
塗装前の下処理
溶接部には “スラグ” と呼ばれるカスが付着しています。
スラグを “ピッチングハンマー” (溶接用でハンマー頭がとんがった “ポイント” と平べったい “チゼル” 形状になっている)で叩き落とします。
スラグを叩き落とすと溶接部分が現れます。
アングル鋼の外側と内側両方を溶接していますが、外側はフラットに仕上げたいので、ディスクグラインダーで研磨します。
研磨ディスクを取り付け、削り過ぎに注意して研磨します。
ディスクグラインダーの使い方等に関しては、ディスクグラインダーとは?構造と使い方について説明します。 の記事を参照してください。
塗装
鋼材のフレームを塗装します。
“カンペハピオ・艶消しアーチブラック” を塗布していきます。
男前インテリアの雰囲気が出てきました。
棚板加工
溶接されたフレームの棚板が収まる箇所を計測し、幅約250mm、長さ約1200mmで用意した棚板を実寸にあわせサイズ調整します。
欠き取り
ジグソーを使用し、アイアンシェルフの支柱部分(25mm角)がはまる棚板の四隅の欠き取り加工をします。
ジグソーの使い方等に関しては、ジグソーとは?使い方と機能について詳しく説明します。 の記事を参照してください。
面取り
トリマーで棚板の面取り(45°の角面ビット使用)加工をしていきます。
トリマーの使い方等に関しては、トリマーの使い方と構造について詳しく説明します。 の記事を参照してください。
面取りが終わったら全体的にサンドペーパー(番手#320)をかけておきます。
塗装
今回はブライワックス・ジャコビーンを塗布します。
ウエスとゴム手袋を用意します。
ウエスに適量ワックスをとり、棚板にすり込む様に塗布していきます。
両面塗り終わったらしばし乾かします。
ブライワックスの塗装方法に関しては、ブライワックスを7色使用しヘリンボーン柄サイドテーブルをDIY。作り方をお教えします。 の記事を参照してください。
棚板取り付け
棚板を取り付ける前に角形鋼管の両端をカバーする専用のキャップを取り付けておきます。
棚板をアイアンシェルフのフレームにはめ込み、棚の裏面から木ネジ(3.8mm×20mm)で棚板とアングル鋼を固定していきます。
クランプで棚板とLアングル鋼を密着させたら、3.8mmの鉄工用ドリルビットでアングル鋼に下穴をあけていきますが、なるべくアングル鋼だけ下穴があくようにします。
棚板まで深く下穴をあけてしまうと、木ネジがきかなくなってしまうので注意してください。
今回使用する木ネジは、頭の部分が皿の形状(皿頭)になっています。
アングル鋼の面と木ネジの頭を出っ張りなくフラットに収めたいので、下穴部分に皿取加工(すり鉢状の穴を切削する)必要があります。
皿取加工を行うには、”面取カッター” を使用します。
下穴中央に面取カッターの先端を押し当て、切削します。
面取カッター及び皿取加工に関して詳しくは、皿取錐の種類と使い方とは? の記事を参照してください。
アングル鋼と木ネジの頭がフラットに収まりました。
完成。
アイアンシェルフの完成です。
まとめ
今回は男前インテリアの定番、 “アイアンシェルフ” の作り方を紹介しました。
鋼材のカットから溶接まですべてDIYで行うやり方なので、使用する機械・工具も多く、ハードルが高いかもしれません。
特に溶接はコツが必要ですが、DIYの幅が広がること間違いないので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。